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マクドナルドから考える医療のサービスが向上しにくい理由


いきなりですが、マクドナルドの店員さんが、接客態度が悪く、面倒くさそうに仕事をしていて、商品も雑に扱っていたらどう感じますか?


多分、ほとんどの方が二度とその店舗に行かなくなるでしょう。

場合によってはその場でクレームを入れる人もいるでしょう。

最悪は、マクドナルド全体を否定して、全ての店舗に行かなくなる人もいるでしょう。

そのため、マクドナルドは企業イメージや企業ブランドを保つため、徹底した、社員教育を行い、日々サービスの向上に取り組んでいます。


では、接客態度もまあまあで、一生懸命に仕事に取り組んでいる姿はみえるけど、自分が頼んだ商品が間違って提供された場合はどうでしょうか?

その場合も多くの人が、クレームまではいきませんが、商品の交換を求めたり、場合によっては返金を求めたりするでしょう。

これは、マクドナルドとお客に対して売買契約により、商品の提供とそれに見合うお金という対価が支払われているからです。

しかも、ただ商品の提供のみならず、接客等のサービスも対価に含まれており、そのため、商品のクオリティだけではなく、接客のクオリティに対しても対価の対象としてみているのです。

何故、このような構図が成り立つかというと、マクドナルドとお客によって、直接対価のやり取りが行われている事が大きく影響を与えています。

ようは、客が、『ちゃんとお金を払っているから、商品の提供と提供に際したサービスをしっかり行ってね』

という、暗黙の了解が成立しているからだと思います。

そして、マクドナルドを含む、各企業は、その暗黙の了解に対し、日々向上する為の努力を行っているのです。


ここで、重要な事が二つあります。

一つ目が、サービスに対する対価が明確になっていること。

サービスの対価が明確になっている事とは、客が、マクドナルドで照り焼きバーガーのセットを購入しようと考えたときに、その価格が誰が見てもわかるように明確に表記されている事です。


そして、表記された、金額に対して、客は価格が妥当か考えて商品の購入を決めます。

商品とその価値に納得してから購入を決定するのです。

商品も値段もからない物を購入決定する事は、ほとんど無いと思います。

もしあるなら、よっぽどお金を持っている方で、お金の損失に対して気にもならない人など、よっぽど稀なケースだと言えます。


2つ目が、直接サービスに対する対価のやり取りが行われていること。

商品の提供に対して、直接対価を支払っている事実がとても重要になってきます。

何故かというと、対価を支払った時に売買契約が成立するからです。

対価を支払ってはじめて、サービスを受けるお客としてみなされます。

そのため、対価を支払った事実はサービス提供する側と受ける客、両方にとって、とても重要な意味を持ちます。

対価を支払った事実は、お客の立場を強くします。

『対価を支払った以上、対価に対するサービスをしっかり行ってくれよ』

という暗黙の了解が出てきます。


そのため、冒頭で話した、商品の価値のみならず、それを提供する過程である、接客にまで注文をつけるようになるのです。

正確には、商品の提供の過程に対しては、対価は設定されていない事がほとんどで、お店側も提供を義務づけられている訳ではありませんが、商品に対する付加価値として、お店側の企業努力として提供している事が多いと思われます。


以上の事からマクドナルドのみならず、多くの企業が商品とその提供の過程にまで力を入れている理由が伺えます。

では、続いて、病院などの医療現場に対する接客についてみていきましょう

医療現場で、診察の順番を30分くらい待たされたとします。その時の感情として、

『30分も待たせるなんて、二度とこの病院には行かない』となりますか?

そうなる方もいると思いますが、ほとんどの方は、『30分くらいなら、仕方ないよね、みんな同じように待ってるから』と思う人がほとんどだと、おもいます。

では、マクドナルドで照り焼きバーガーのセットを頼んで、30分待たされたら、みなさんどう思いますか?

ほぼ全員が、クレームを入れるでしょう。


この違いはなんでしょうか?

様々な要素があると思いますが、一つ言える事は、『医療のサービスはサービスに対する対価がかなり優遇されている事』です。


どういう事かというと、病院に行って、お金を支払う際に、私たちはかかった費用の3割しか支払わなくて良いのです。

『つまり、医療のサービスは7割引きで受けられるのです』

私たちは、国民皆保険といって、予め保険に半ば強制的に入らされられているのです。

そのため、私たちが病院の受診をした際、7割が保険から3割が自己負担となっているのです。

この事が、病院の立場を強くし、客(患者)の立場を弱くして、結果、病院の客に対するサービスの質を低下させている要因なっていると私は考えています。

例えば、マクドナルドの照り焼きバーガーのセットが7割引きで販売されていたら皆さんどうですか?

かなりお得ですよね‼️

その際に、お客が多くて、提供に30分待たされたら、みなさんどう思いますか?

多分、半数以上の人が、提供されるまで、我慢して待つと思います。

何故かというと、商品の価値が(値引きで)落ちるという事は、サービスの価値が低下するのも仕方ないと思えるからです。

そのため、お客は商品の提供まで、時間がかかっても文句を言わなくなります。

そして、その状況が続けば、商品を提供する側も、段々とそれが当たり前になっていき、徐々にサービスに対する努力が低下していきます。

その結果、提供する側の立場が強くなり、サービスを受ける客の立場が弱くなるのです。


では、医療のサービスで検証していきましょう!

医療のサービスは常に7割引きです。その為、常に、お客が殺到している状態です。

みなさん、少し体調が悪くなったら、すぐに病院に行きませんか?

何故なら、病院のサービスはお得に受けれるからです。

風邪で病院に受診しても、受診料と薬代で2000円位か高くても3000円くらいで受けられます。


では、これが、8000円から1万円かかるとしたら、どうでしょうか?

そうなったら、多少体調が悪くても、我慢する人が出てくると思います。

ほとんどの体調の悪化は、ゆっくり休んで栄養をとれば良くなるからです。

そして、2、3日様子を見て、悪化していくようなら、病院に受診する様になるでしょう。

しかし、医療は7割引きのサービスなので、多少体調が悪いくらいで、みなさんこぞって受診をして、結果本当はサービスを受ける必要の無い人達まで集まります。

ただ安心を買うため受診する人が増えるのです。

結果、医療のマーケットは売り手市場になります。

大したサービスを提供しなくても、お客は集まる為、サービスの向上に対する企業のリテラシーが低いのです。

私は、医療の現場に対するサービスの姿勢に、常に疑問を持っていました。

目上の患者様に対する、医療スタッフの口の聞き方、『〇〇さん、どうしたの?』 『〇〇さん次があるから、はやくして』 『〇〇さんそっちじゃない、こっちこっち』など、医療の現場ではよく見受けらるやり取りになります。

マクドナルドで、同じ様な事を言われたら、みなさんどうでしょうか?

会計する際に少しもたついていら店員から、『次のお客が待ってるから早くして』なんて言われた際はほとんどのお客が怒ると思います。

同じ接客業でも、だいぶ違いますよね。


私は、医療の現場で管理職をしていた為、自分の部署の患者サービスの向上の為、よく、マクドナルドの接客を例にして教育を行ってました。

商品の提供にあたる一連のサービスに対する、言葉遣いや取り組む姿勢など、本当に勉強になる事が多いからです。


医療の現場のサービスの向上に対するリテラシーの向上には、様々な障害があり、簡単にはいかない事情があります。

しかし、医療のサービス質の向上に欠かせないのは、サービスを受ける側のリテラシーです。

サービスを受ける側の意識が変わらなければ、サービスを提供する側の意識も絶対に変わらないという事です。


医療の現場も徐々にかわりつつあります。今まで、売り手市場であった病院もコロナの影響により、患者が減っているのです。

奇しくも、コロナの影響により、本当に必要な人だけが、病院に受診する時代にかわりつつあるのです。

そのため、病院が患者を取り合う時代に変化しつつあるのです。


このきっかけが、医療のサービスを向上させる事に繋がるとしたら、何という皮肉な縁でしょうか?

時代の変化により、それを取り巻く環境も変化します。医療の現場も昔に比べたら、徐々にサービス質が向上していっているのも事実であります。


病院のサービスの質向上に重きを持つ経営者が増えてきているいるのも事実です。

その考えが、医療界全体に浸透するには、もう少し時間がかかるかもしれませんが、最終的には医療のサービスが接客業の見本となるサービスに変化していったとしたら、どれだけ嬉しい事でしょう。


今後の、医療のサービスの向上を切に願い、終わりとさせていただきます。


最後までお読みいただき本当に感謝です。ありがとうございました😊

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