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Vtuber最協決定戦S2のe-スポーツと課題

激アツの最協決定戦

2021/1/24(日)、Vtuber最協決定戦S2が行われた。前回のnoteにも書いたが、どこも練度を上げて、非常に激アツな展開だった。にじさんじ麻雀杯に近いものを感じた。メインで追っていたのは、何もしてねぇ(わかりにくいから以下NsN)の勇気ちひろの配信だったが、切り抜きとかでやゆよとかの様子も見てるし、どのチームも今までのApexのプレイングよりも何ランクも上になっていることがわかった。

前回のnoteは↓

同じ箱同士、前のチームメイト同士

いわゆる競技シーンとこのエンジョイ大会であるVtuber最協決定戦やCRカップの違いは、必ずしもチームメイトが同じではないということが、よりこの大会を面白くしていると思う。それこそ、かなちーくずは今回、それぞれ別々のチームで大健闘しているわけだし、カスタムや大会当日だって気づいたときにはお互いをリスペクトしたり、逆に闘志を燃やして攻めたりしている。にじさんじ同士やぶいすぽ同士での戦いも見れた。そういうところが、競技シーンとは違った面白さなのだと思う。

方針を決めて、3人で勝ち取った勝利

NsNの立ち回りは一貫して「安定」。平均の叩きだし方は非常によかった。そして何が面白いかというと、このチームだと前に出すぎちゃうのが勇気ちひろという点である。今回のチャンピオンを取った回でも、勇気ちひろの腹の具合が良くなかったのもあるかもしれないが、前に出たいという気持ちがあるのに対し、後ろから様子を見ているラトナ・プティとイブラヒムが「いかない、いかない」「まって、それちーさんしかいってない」と静止する様子が見られた。勇気ちひろも安定型だが、場面による。それをイブラヒムのクリプトがドローンでうまく追加情報を受けてうまく立ち回ることができた。そしてラトナ・プティのドームの判断が素晴らしい。前ドームを後ろドームも、はたまたウルトも。各々の能力が上手く相互作用して勝ち取った勝利だと思う。

浮き彫りになった運営側の課題

一方で、運営側の課題が浮き彫りになった。
①同点時の順位の決め方
②集計発表の仕方

の2点である。

①同点時の順位の決め方
これの問題は根本は1つ。ルールに明記されていなかったこと。そしてそれを途中で配信で実況が発表してしまったこと。ただそれだけ。

②集計発表の仕方
最大の課題はこの集計・発表の仕方である。当然、どういう得点集計の仕方をしているかはわからないが、1ポイント差で順位が入れ替わりそうなときには、複数人でチェックすることが大事である。例えば、同じ順位決定作業を同時に2人(チーム)で行う。そしてそれを付き合わせて正しいことを確認してから発表するということだ。チェック体制が集計→確認の流れでダブルチェックが完璧とは言えない。そして発表もあまりに早すぎる。正直、集計にかかる時間がもっとあり、発表まで渋ハルの小話でも聞く気でいた。でも、すんなりと発表された。もっと時間をかけてチェックする必要があったと思う。

私はバスケットボールの審判の資格を持っており、中学校や高校の公式大会をいくつも吹いたきたが、我々審判が一番緊張するときは「数点差」のときである。それは当然、ミスジャッジは許されないという緊張感もあるが、得点があっているかどうかという緊張感もある。そしてバスケットボールではTOと呼ばれるスコアやファールの数などを記録したり、試合時間などを計測したりするオフィシャルがいる。しかしプロの大会ではないため、TOをやっているのは生徒たちである。そして通例、各チームでスコアシートを記録していることがほとんどであるため、得点差が無く、勝敗に影響が出そうな場合は現在の得点があっているかどうかを双方に確認し、すり合わせを行う。これくらいの緊張感をもってスポーツの得点管理は行われている。場合によってはこのすり合わせに数分かかることもある。でも、すっきりとゲームを終わらせるためには、そういった審判とチームとの協力が必要なのだ。

正しい渋谷ハルの決断

もし、途中で発表された同点時の順位決定方法を当てはまれば、NsNはジャンマス譲りますにキルポイントで負けていたことになる。しかしそもそも結果発表時点でキルポイントを加味しない結果を出してしまった。これとルール提示の不手際を認めたうえで、渋谷ハルは「同着1位にする」という決断を下した。これは、すでに発表されて喜んだ(ものの不安を残していた)NsNにとっても、2位と言われたジャンマス譲りますにとっても、納得できる一大会の主催者としてとても良い判断をしたと思う。「ぬか喜びはさせたくない」「景品もきちんと用意します」――Apexは立ち回りと判断がAIMより重要と言われることも多いが、こういうところの立ち回りと判断も上手いなぁと感じた。

「運営さんおつかれさまでした」

これは優勝者インタビューで勇気ちひろから放たれた言葉である。その前も、配信内で「運営さんが一番大変なんだ。得点集計とか大変よ。やったことないからわからないけど。」とも言っている。正直、勇気ちひろはもし覆って2位だとしても、「自分が最後に確キルを取らなかったことが悪い」と言っていたと思う。運営側の労いをしたのは、リスナー側を落ち着かせるという面もあったと思う。

「最協なら、同着1位でもいいじゃない」でも……

エンジョイ大会だし、いいじゃない。そういうこと。ただこれからe-スポーツとして広げていきたいのであれば、今回の課題はクリアしなければならないところであると思う。集計の仕方はある程度のシステムを構築する(それこそ、ExcelのVBAで組む程度でもいいし、がっつりアプリケーション作っちゃうのも一つ)ことや、ルール文言の固定(誰でもコピペでできる、何パターンか作っておく)。まだまだe-スポーツが日本に定着するには、時間がかかりそうだ。

まだまだ熱いApex

怒涛の大会が終わり、少し落ち着くかもしれないが、ユーザーの様子や、Vtuber達の配信、そして芸能人たちのApexへの興味もまだまだ熱くなっていきそうなApex。今回の大会運営もおつかれさまだし、参加した人たちもおつかれさま。コメデターなんて言葉もあるけど、我々リスナー側ももっと落ち着いて楽しめる環境になると、もっとApexがより良いものになるかもしれない。

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