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ゲームにおける主人公のキャラのあり方

今回はゲームにおける主人公のキャラクター(性格・人物設定)について考えてみます。

■主人公はしゃべらないのが基本

一般的なゲームであれば、ドラゴンクエストの主人公のように「しゃべらない」キャラクターが良いと思います。もしくはしゃべったとしても常識的な普通の受け答えをさせます。
というのも、ゲームでは「主人公=プレイヤー自身」なので、平均的な人間である方が入り込みやすいからです。

■主人公の成長は物語によるものではなく、「ゲームシステム」で表現する

小説や映画の物語を作る場合には、話の進行にあわせて主人公の心境・行動が「変化」したり、技術力や精神的な「成長」が起きることで、読者や聴衆に達成感や共感を与えることで満足させる効果があります。
しかし、ゲームでは主人公キャラクターは物語により成長するのではなく、プレイヤーの操作結果によりパラメータが上昇することで成長します。なので、主人公の成長を物語で描く必要はない、ということとなります。
もちろん、手強いボスを倒したり、障害を乗り越えたプレイヤーを褒め称えるイベントを用意するのは、プレイヤー自身の成長を評価するものなので、強い満足感を与えるのにとても有効です。大切なのは、ゲームが "主" であって物語は "従" であるということです。
少し話がずれますが、某ゲームを開発していた時に、スーパーファミコンの時代からゲーム開発に関わっているベテランのシナリオライターの方とお話する機会がありました。その方の話で、

「僕は自分のシナリオそのものを悪く言われるのは気にしていない。ただ、自分のシナリオのせいでゲームが面白くない、と言われることはしたくない」

という話を聞いたのが印象的でした。
そのプロジェクトのゲームは、段階的にできることが増えていって探索範囲が広がるRPGだったのですが、イベントやシナリオがゲームシステムとうまく噛み合っていて、物語の中で生まれた疑問や謎を探るためにゲームを進めていくと、自然とゲームシステムを理解できる流れができていました

■物語で成長・変化するのは周りのキャラクター

話を主人公キャラクターに戻すと、主人公は周りのキャラクターの成長を促す、という役割に徹するのが良いと思います。
良いゲームは「プレイヤーの行動がその世界へ影響を与え、それによりわかりやすいフィードバックが得られるもの」と考えています。物語もそれの1つと考えると、プレイヤーが他人(NPC)に干渉した結果、そのキャラクターを良い方向に導くことができれば「その行動は正しかった」と思って満足感を得ることができます。この感触はゲームならでは、という気がします。
例えば「ときめきメモリアル」のような恋愛シミュレーションゲームでは、主人公は勉強や部活に励んで、各種パラメータを上昇させていきます。それによりお目当の女の子とデートをして、その女の子が喜ぶような選択肢を選んだり、プレゼントを送って好感度を上げていく……というゲームシステムとなっています。主人公は「パラメータ」というゲームシステム上の数値で構成されていて、それにより女の子の気持ちを変化させることができる、というわけです。
恋愛シミュレーションゲームでの主人公の挫折や幸せは、女の子に振られたり、女の子のハートを射止めたりすることで感じられるものとなっていて、ゲームシステムが主人公の心情の変化や成長を表現しています

小説や映画などでは、主人公が挫折するシチュエーションを描く場合に、絶望的な状況に追い込まれた主人公が感情をぶつけるシーンがあると思います。ですがゲームでは「これはゲームクリアできないのでは?」と思えるような状況に追い込み、プレイヤーに考えさせたり何度もリプレイさせることでクリアを目指すようにすることが、"ゲームらしい物語表現" となるのではないかと思います。

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