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恋の後悔と小さなわがまま【わき役でいいから / ユーミン】

皆さん、こんにちは!
すっかり梅雨になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
本日は、最近私が繰り返し聴いている名曲について、紹介させてください。

わき役でいいから

今回取り上げる「わき役でいいから」という曲は、1981年に発表された、「水の中のASIAへ」というアルバムに収録されています。
アマゾンプライム会員なら、ベストアルバムに収録されているこの曲をフルで聴けます! ぜひこちらへ!

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アルバムタイトルのとおり、アジアという地域がフィーチャーされた一枚です。
現代のように、アジア各国への日本人観光客があまりいなかった、1981年にリリースされました。
そんなアルバムのトリを飾るのが、この「わき役でいいから」なのです。

世界を構築する歌詞

ユーミンが紡ぐ歌には、物語を雄弁に語る「歌詞」がつきものです。
わき役でいいからも例外ではありません。

Remember me もうすぐ 通りをスコールがかけて来る時刻
あなたのオフィスからは 今ごろ虹と夕映えが見える

これは歌い出しの歌詞です。
・「スコール」という気象から、地域、時間帯をある程度決定
・主人公のいる通りには、「もうすぐ」、「あなた」がいるところからは、スコールは過ぎていることから、お互いの場所はそれなりに離れている
・虹と夕映えが一望できる高層「オフィス」という相手の人物像

この情報量たるや……!
どのキーワードも後で利いてくるんです。

この歌の大枠としては、主人公が去年までお付き合いしていた男性との別れを綴る、所謂「失恋ソング」なのですが、上記のような巧みな歌詞により、歌の世界が鮮やかに語られます。

私がもう少し大人だったら
あなたに出逢えはしなかったでしょ

無邪気な主人公だからこそ、ハイソな男性とも臆することなくお付き合いはできたけれども、だからこそすれ違う部分も大きかったのでしょう。

やさしい誓いもつらい言葉も
運命の風が吹いていっただけ
そう ただそれだけ

具体的にどういう言葉があったかはもちろん語られませんが、優しい誓いを受け入れられなかった過去が、主人公の幼さへの後悔と一緒にすんなりと聴き手に入ってきます。
また、歌詞という文字数が制約された創作の中で「そう、ただそれだけ」と繰り返す強調がまた、良い……。

そして、過去への後悔と同時に、前向きに振る舞う主人公の心境も強調されています。

ときには 泣きじゃくって
カラリと去ってゆく雨になりたい

スコールと同じように、しっかり悲しんだら、晴れ晴れとした心でいたい、と。
男性はもうすぐ別の女性と結婚することもあり、一つのいい思い出として、次に進んでいこうとする主人公ではありますが、一番大事な要素、この歌のタイトルへとつながります。

Remember me
ときには 思い出して
夢の中のわき役でいいから

歌の中で繰り返される「Remember me」、覚えていてほしいという、最後の「わがまま」。

タイトルの意味が分かると、わき役「でいいから」というのが、とても絶妙な表現であることがわかります。
夢に出てくるということは、ずっと覚えているということです。
わき役であったとしても、そうです。
だから、わき役でいいから、という言い方に少しだけ主人公の幼さというか、わがままなニュアンスが含められていると思っています。

最後に

このように、最後のわがままだけ託して、過ぎた恋愛を前向きに思い返すという歌です。
曲調はとてもさわやかなので、本当に一度は聴いていただきたいです……!

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