2022年の飲食店集客を考える『①マーケットの変化を知る』~飲食店の為のマーケティング講座~
0.初めに
3月後半に全国的にまん防も明けましたが、一部のファーストフードを除き、いまだに外食のマーケットが戻ってきていない状態です。今後の集客を考えていく上でも、まずは現在の状況を正しく知る必要があります。今回の 2022年の飲食店集客を考える『①マーケットを知る』では様々な角度から現状の外食の置かれている環境について見ていきたいと思います。
1.外食市場規模の推移
これまでの外食市場の推移を見ていきたいと思います。1997年をピークに2010年くらいまでマーケット縮小していましたが、主にファーストフードやカフェの増加、もう一つは料理品小売業(惣菜屋、弁当屋、テイクアウト、デリバリー専門店)の増加によって全体としてコロナ前(2019年)までは回復傾向でした。
一方で、居酒屋・喫茶やバー・料亭系は全体マーケットが伸びる中でも、減少・横ばいといった形で推移していました。コロナ前から始まっていた人口構造の変化、アルコール離れ、働き方の変化、会社宴会の減少etc,.さまざまな要因の絡む変化が起きており、恐らく今後も大幅に回復していくことはないでしょう。
2.人口構造の変化
①人口の推移
まずは人口の変化を見ていきます。
2022年と2010年と比較しても生産年齢(15~64歳)人口が約5ポイント減少。14歳以下人口もすっと減少しており、今後もこの流れは変わらない。
人口ピラミッドで見ると上が大きいいびつな形になってきているのが分かります。2025年には団塊世代が75歳オーバーとなり、団塊ジュニア世代も50代前半になり高齢者の比率がどんどんと高まっていきます。まさしく少子高齢化が着々と進んできてしまっています。
②世帯構成の変化
単純に人口の変化だけでなく、世帯の構成についても見ていきたいと思います。ここでは、とくに現在増えてきている単身世帯、高齢者単身世帯、ひとり親世帯の推移をグラフにしています。
昭和では多かった両親と子供で構成される核家族や3世帯家族などは減少しており、上記の世帯が増えてきていることも着目しなくてはいけません。現在のシェアリングエコノミー的な考えが浸透していくとすると家事の外部委託化、特に食事などは外食ですませるだったり、デリバリーやテイクアウト、ミールキットといったものを利用して、時間や手間の削減を行うといったことが増えていくかもしれません。
③年代別お金をかけている事
こちらは、単純に年代毎の集計になっています。2016年の統計データの為、30代40代が結婚をして子供がいる方の多いようなので教育費への出費が多いですが、恐らく晩婚化や未婚率が上がってきていますので、今後その割合が減っていくのかもしれません。20代ようなお金の使い方人が増えていくのでしょう。
3.情報取得方法の変化
インターネット普及し、ネットから情報を得られるようになったことやスマートフォンの普及、SNSの浸透による個人からの情報発信の増加etc.ざまざまな変化がこの10年くらいで起きました。また、コロナによる価値観や働き方の変化も起きており、これまでにはないくらいのスピードで変化が起きています。(もちろんこれまで通りのリアルでの看板やチラシ等のメディアも重要であることには変わりありません。)
①情報取得先とデバイスの変化
かつての情報を得るためのメディアといえば、テレビ、新聞、雑誌が主流でした。しかしながら、インターネットとスマホの普及により大幅に変化が起きました。
・テレビ視聴率の推移
各局全体的に減少傾向なのが見えます。
・出版物分類売上推移
雑誌の販売数が大幅に減少し続けているのが分かります。
・インターネットとデバイスの利用率
インターネットの普及率も90%を越え、2014年からスマホの普及が進んだこともあり、PCの利用率が大幅に減少してきています。ネットに接続する際のメイン媒体(デバイス)がスマホへ移行してきていることが分かります。
②年代毎の情報収集方法の違い
下記の記事に面白いアンケートデータが出ていました。(詳細はリンク先を参照ください。)
若い年代ほどgoogle(yahoo)検索が減り、その他のサイトを見る傾向が高いです。特に口コミやSNS、youtubeを見ることが顕著に高いです。また、お勧め・紹介される情報もSNS(広告も含み)からのものが多いです。
上記を見ると顕著に傾向がでており、年代が若くなるほどお勧め・紹介されるものを見る傾向が高くなっています。若い世代は生まれたときからインターネットがあり、情報が過多な中から、必要な情報を効率よく選び出す方法としてそちらを使っているのだと思います。もちろんSNSの普及の度合いも関連していると思われます。
あと面白いのは情報収集に感じる面倒・負担だと思うものがカテゴリーによって変わるということと若い年代ほど調べるのが面倒くさいと思う人が多いことです。若い年代への情報の露出も検索でヒットされるだけではダメで、誰かの紹介により露出することがないと情報を見てもらえなくなりつつあります。
③Google検索
基本、飲食店を検索する際にはいわゆるローカル検索を呼ばれる『地名+業態(商品、利用シーン)』といったワードで検索を行います。この検索をした際には下記のような検索結果が出ます。(例:新橋 居酒屋)
ⅰ)ローカルパック内
単純に見つけてもらう為には、上部に表示されることが大切だというのは皆さん分かっているかと思います。最上部には、ローカルパックといわれるマップ検索の結果が3件表示されます。(下図の赤枠内)クリックするかは?別として100%の方がここの結果は目に入ってきます。なので、ここに店舗の情報が載せられれば非常に有利になります。いわゆるMEOと呼ばれているものはここに表示させるための最適化の事を言っています。
また、その上の地図タブ(緑色の枠)をクリックして地図検索を見る人たちが増えています。(クリックすると下記の画面になります)
ここに情報を表示させるためには、googleビジネスプロフィール(旧googleマイビジネス)への情報登録が必要です。管理権限を持っていない場合は、まずは取得しましょう。
情報のセットアップの仕方は、下記で詳しく説明していますのでやり方の分からない方は下記をお読みください。
ⅱ)ローカル検索結果
先ほどのローカルパックの下に表示される検索結果を見ていきます。いわゆるSEOとは、ここで上位表示されるようにするためのページ最適化の事を言います。具体的な表示内容を見ると下記のようになります。エリアや業態によって検索結果の並びは変わりますが、大抵は食べログ、ぐるなびといったグルメ媒体かキュレーション(まとめ系)サイトが上位に並びます。都心部においては、個店のホームページがヒットすることはほとんどありません。という事はお客様にお店を見つけてもらおうと思った場合には、グルメ媒体への掲載が必要といえます。
④SNS内検索(instagram地図検索)
最近ではSNS内でも検索を行うようになってきています。ひとつはよく耳にするハッシュタグ検索(いわゆるタグるというもの)。あとは、instagram内で地図検索(ローカル検索)を行うといったことも増えてきました。Googlビジネスプロフィール(旧googleマイビジネス)同様に店舗の位置情報が登録がされていないと表示はされません。検索をすると下記のように写真投稿されているお店が表示されます。(例:新橋エリアで居酒屋で検索、この他にもカテゴリーが用意されており、カフェ、レストラン、観光スポット、ホテル、美容院、ラーメン、パン屋、スイーツ、バーといったものもあります。)
4.まとめ
①外食市場規模の推移
・外食の市場規模は全体として回復してきているが、各業種によって差が出てきている。
・飲食店のマーケットは伸びている。(特にファーストフード系)
・一方でお酒を取り扱う業態はずっと減少傾向。コロナ前から始まっていた人口構造の変化、アルコール離れ、働き方の変化、会社宴会の減少etc,.さまざまな要因の絡む変化が起きており、恐らく今後も大幅に回復していくことはないでしょう。
②人口構造の変化
・少子高齢化は今後もどんどん進む。
・世帯構成も単身世帯、高齢者単身世帯、ひとり親世帯が増加。
・世帯構成の変化から年代別のお金をかけるものに変化が起きそう。
昭和のように結婚が絶対的な選択肢といった価値観はなくなってきている
③情報取得方法の変化
・情報の取得先が、web上の割合が増えてきている。
テレビや雑誌といった旧来型のメディアの衰退、netメディアの隆盛。
・年代別での情報取得の方法が変化してきている。
『自分で調べる』から『お勧め・紹介』へ
・検索の主体は、googleだけでなく、SNSへも広がってきている。
(Z世代だけでなく、Y世代へも)
・外食に関してはローカル検索(地名+〇〇)が主流なので、地図検索の比重とどんどん高まっている。併せてインスタの地図検索機能も使われるようになってきている。
以上、まずは大枠でのマーケットの変化について記載しました。これをきっかけに自店舗のターゲットとなるお客様について深堀して考えていただければと思います。
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