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経年劣化のメンテナンス

 建物でも、乗り物でも、身体でも、年月による品質や機能の低下は仕方のないことだろう。長持ちさせるためには、メンテナンスが欠かせない。
 家ならば、外壁や屋根の塗り替えなど。乗用車は定期検査が義務付けられている。
 人にも、加齢と共に積み重なっていく変化がありメンテナンスが必要だ。
 世の中には、アンチエイジングと謳っている物ごとがたくさんある。飲んだり、貼ったり、塗ったりするものや、踏んだり、蹴ったり、ぶらさがったり。不具合が改善する、若返ると信じて使う人は多い。
 アンチエイジングという言葉には魔法のような効果があるのだろう。人の心は複雑なので、信じて使うだけでも効果がある場合もあるのかもしれない。
 アンチエイジングと謳ったものが、経年劣化のメンテナンスになるのかどうか。
 長年使い続けた体の、老化の何をどう防げて、何は致し方ないのかについては、フェイクじゃない専門家の意見が聞きたいと誰しも思っているだろう。老いない人はいないのだから。

 約五千年前にインドで発祥したヨガという健康法がある。私は8年前から心身を整えるのを目的にフイットネスとして実践している。
 今まで出会った運動には、ヨガの他、ソフトボール、水泳、ダイビング、マシンを使った筋トレ、ウォーキング、太極拳、ゴルフなどがある。どのスポーツも奥が深く、健康の維持増進にも心の健康にも意義があった。
 それらの中でもヨガは特殊な技法だ。自分の体と対話し、体の構造を自覚することが基本だ。

 ヨガ教室では、様々なポーズを流れるようにとりながら一時間ほどを過ごす。その日の体調や、季節によって組み合わせるポーズはいろいろだ。体のあらゆるところを左右均等に動かす。体幹が鍛えられるポーズが間に入る。インナーマッスルが強化されバランス能力が鍛えられる。曲がる、廻る、伸びるなど動くところはすべて動かす。

 ヨガ教室といっても、講師の性格や経験によって内容はピンからキリまである。
 健康教室の延長線の様だったり、マニアックで厳しかったりだ。自分のしたいことと講師のやり方が合っているのが一番望ましいが、そこが解るまでには少し時間がかかった。
 自分の身体がどんなものなのかがわからないままにやると、体を痛めてしまうというのもある。
 8年間の前半には、気持ちが逸ってやりすぎたり、自己流のやり間違いで腰やハムストリング、肩を痛めたり、ということがあった。
 しかし、痛いところをケアするポーズもあるので、まったく休むということはしないで、故障を治しながらヨガを続けてきた。

 現在、長年悩んでいた肩凝りや腰痛などの不具合は全く無い。

 数年前、凍った波止場で滑って仰向けに転んだ時、頭も打たず、骨折もしなかった。二度目は最近、4段ばかり階段を踏み外したが、背中の皮がむけただけだった。
 アクシデントの時、咄嗟に防御の姿勢が取れ、大きなけがをしなかった。
身体が証明したのは、深層筋肉の強化やバランス能力の鍛錬などをするヨガが、経年劣化をメンテナンスしているということだろう。

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