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遺言書を実際作成している人はどれくらい?〜遺言書の3つのタイプと年間作成件数


遺言の種類

民法は遺言の方式として、「普通方式」と「特別方式」を定めています。

普通方式

まず普通方式は、次の3つです。現在主に活用されているのは「普通方式」のうち、(1)自筆証書遺言と(2)公正証書遺言になります。

(1)自筆証書遺言(第968条)
   
⇒自筆で作成した遺言書
(2)公正証書遺言(第969条)
   
⇒法務大臣が任免した公証人が関与して作成、公証役場で保管
(3)秘密証書遺言(第970条)

特別方式

もう一つの「特別方式」では、例えば船の上で遺言を作る場合についても定められていたりします。

船の上で遺言を作る場合についても定められていたりします。
なので、大型船の船長さんなどは遺言書の作成に立ち会うこともあるはず…です…。

・危急時遺言 死亡危急時遺言(第976条)
・隔絶地遺言 一般隔絶地遺言(第977条)
・在船者遺言(第978条)
・船舶遭難者遺言(第979条)
・領事方式遺言(第984条)


年間作成件数の推移

主に活用されている「普通方式」の遺言書作成件数ですが、各種統計によりその数字を確認できます。

『デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書』より引用

(1)自筆証書遺言

自筆証書遺言は、
①自分で自筆で作成してどこかで保管しておくもの
②「自筆証書遺言書保管制度(令和2年7月開始)」を利用して、法務省で保管しておくもの
の2種類があります。

以前は①だけだったのですが、自宅などに遺言を置いておくと見つからなかったり、気づかず捨てられてしまったり、改ざんされたりする恐れがあるため、令和2年7月から②「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。

①の自宅などに保管している件数については統計もないため、どれぐらいの方が作って自宅で保管したりしているのかは不明です。相続開始後には家庭裁判所で「検認」という手続きが必要なため、検認件数を見てみると、令和4年は年間2万500件となっています。

一方、②の保管制度利用件数は、令和4年で年間1万6,802件となっています。


(2)公正証書遺言

遺言の内容を公証人が聞き取り、その内容を公正証書にまとめて作成する遺言書です。
公証役場における公正証書遺言の作成件数は、令和4年で年間11万1,977件となっています。近年はほぼ横ばいで推移しています。

(3)秘密証書遺言

遺言書を秘密に保管するために、封をした遺言書の封筒の中に遺言書が入っていることを公正証書の手続きで証明する方法です。遺言の内容は秘密にしたまま、偽造・変造などが防げます。
この方式で遺言書を作成した件数は、令和4年で年間68件となっています


遺言書の検認件数 「司法統計年報」(最高裁判所)https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/shihotokei_nenpo/index.html
自筆証書遺言書保管制度利用状況について(法務省)https://www.moj.go.jp/MINJI/12.html
遺言公正証書の作成件数について(日本公証人連合会)https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/yuigon2023.html


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