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“創造的“対話へ向かう会話の4つのフェーズ(インプット備忘録5−2)

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

ミミクリデザインさんのWDAより、『創造的対話』についての備忘録のお話。
こちらの記事の続きです↓↓

前回は、そもそも対話とは何か、なぜ対話が必要なのかについてまとめました
今回は、創造的対話とその他の会話の違いや、創造的対話に至るポイントをまとめていきたいと思います。

対話とそれ以外の会話

前回、「対話とは何か」についてまとめましたが、日常では対話以外の形式で誰かと喋ることも多いです。対話も含めて、ざっくり以下の4つが挙げられます。

◾️雑談(chat)
 自由な雰囲気の中で行われる気軽な挨拶や情報のやり取り

◾️対話(dialogue)
 相互理解や新たな意味づけをつくるための話し合い

◾️討論(debate)
 
どちらの意見が正しいかを決める話し合い

◾️議論(discussion)
 
合意形成や意思決定のための納得解を決める話し合い

最後の「議論」についてもう少し解説します。
議論というのは通常、以下のプロセスで行われます。

①共有:お互いの意見を共有する
②整理:場に出ている意見を整理する
③統合:統合のためのアイデアを提案
④合意:合意を形成する

また、議論にはざっくり4つのレベル感があると言われています。

Lv.1:声の大きい人が決める
Lv.2:多数決で決める
Lv.3:妥協案をつくる
Lv.4:納得案をつくる

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本来の意味での「議論」は、少なくともLv3以上の意味合いを含んでいます。
これを実現するには、プロセス②でお互いのこだわりや優先順位を理解しあって整理した上でアイデアの提案がなされる必要があります。
(声の大きい人が決めたり、数だけで決める多数決では、このプロセスがすっ飛ばされてしまいます。)

「結局最後は社長が決めるんだ」
「本質的なところを検討しないで多数決って、それでいいのかなぁ」
「本当はそれまずいんじゃないか……? でもめんどくさくなるから言わんとこ」

多くの組織では、会議というと「みんなで議論しよう!」といった声かけで行われていますが、実際の会議でこんなことを考える場面、覚えがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

参画者全員が心から納得する解を導く上で、お互いのこだわり、譲れないものを理解しあうための対話は必要不可欠なのです。

会話における4つの領域

U理論で有名なオットー・シャーマーのモデルをベースに、会話とは次の4つの領域に分けることができ、各領域同士の相互作用の仕方は基本的に変わらないとされています。

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1.儀礼的対話
その場の習慣的な儀礼に従い、相手の意見に合わせることを前提とした会話。
波風立てず当たり障りのない発言の応酬で、「こう言ったらこう返す」というお決まりのセリフ・パターンの再現で成り立っています。
お決まり、お約束の中での会話なので、聞くときもある程度の「予測」を立てていることが多くなります。この予測に合えば会話として受け入れますが、予測外の発言が出てくると聞き流してしまうこともあります。

私個人ですと、あんまり仲が良くない上司や、そんなに親しくない取引先の人との会話においてよく発生します笑
ここでこの人がこう言って、こう返しときゃ一応会話になるなぁ、みたいな。

2.討論
お互いの意見をはっきりと口に出して主張し、その正誤や良し悪しを判断しながら聞くような形式の会話。
討論においては、相手とは異なる立場や考え方であってもお互いに本音で表明することが前提となります。本音をぶつけ合いジャッジするため、衝突から緊張が高まり、場が気まずくなることも多々あります。
私個人は、言い合いや衝突が大の苦手で可能な限り避けたい人間なので、この気まずさに耐えきれず儀礼的対話に戻したくなってしまいます。

ですが、それをしてしまうと、討論の前提である「本音の表明」ができなくなってしまうので、討論が目的ならば踏みとどまらなければなりません。
(私には辛い……)

3.探究的対話
自分の意見に固執せず、お互いに自己を内省しながら進めていく会話。自分の価値観に基づく判断をいったん脇において、相手に共感をしながら話を聴いていきます。
自分自身に向けられていた矢印を外側に向けて自己弁護をやめ、他者の意見を探究することに意識を向けることが前提となります。

個人的に、会議でお互いの主義主張が(討論じゃないのに)ぶつかってしまうのは、大抵ここがうまくいっていない時だと思います。
お互いに自分の利だけを主張して「理解してくれない!」と不満をぶつけてしまう場面を何度も見てきました。

この領域の会話をするには、自分自身もその場全体の一部として捉える視点が重要になります。

4.創造的対話
3の探究的対話を経ることで、お互いの価値観、こだわりを共有しあい、そこから新しい意味づけが生まれていきます。その新たな意味づけを言語化したり、まだここにないアイデアを生成していくように進めていく会話が創造的対話です。

ここでは、自分と相手との間にある線引きを意図的に薄くし、境界のない聴き方をします。
この対話では、個々の立場や価値観を理解しあったことを前提に、個から全体へ、すなわち全員にとってより上位の目的/関心に目を向けることが求められます。

また、この領域をともにしたメンバーとは深いつながりが生まれ、それ以降もこの領域に入りやすくなると言われています。


私個人として、この領域の対話ができたのは片手で数えるくらいしか記憶にありません。直近ですと、会社全体で実施した組織開発ワークショップの企画ミーティングでこのような対話が実現できました。

振り返ってみると、そのミーティングでは次の2つができていたと思います。

◾️自分の立場や価値観を理解してもらえている安心感
 人事として責任を感じていることや、このワークショップの成否が自分の今後に重大な影響をもたらすのではないかという不安など、個人的な事情を理解してもらえている、そして否定されないということを信じられている状態

◾️個別に特定できない、けど新しいアイデアや案が生まれていくスピード感
 「これは〇〇さんのアイデア」という特定の誰かの妙案ではなく、お互いの思うところが融合されてできる新しいアイデアがどんどん生まれていく感覚がありました。さらに、一つアイデアが生まれたらそれを踏み台にして次の新しいアイデア……といった形で連鎖していく感覚もあって、そのスピード感はとても楽しいものでした。

そして、このワークショップ企画をともにしたメンバーとは、その後もことあるごとに深い話をするようになりました。
ひとり人事の身としては、こうやって少しずつ仲間を集めていくことが大切なんだなぁと思った体験です。

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いかがでしたでしょうか。
2回にわたり、“創造的対話”について、自分の経験も含めて復習がてらまとめてみました。

前回の記事にも書きましたが、最近なんとなく感じている閉塞感や生きづらさは、お互いを理解し合えていないことに起因するのではないかと思っています。

自分を受け入れて欲しいという気持ちをいったん優しく脇に置いて、目の前の人、身近な人を受け入れることから全ては始まるのだと。
その心の余裕を、常に忘れずにいたいものですね。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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