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第95回 山本五十六・連合艦隊司令長官の提案

ハル・ノート直後の1941年11月28日、8月に連合艦隊司令長官に再任された山本五十六元帥(げんすい)の提案で、すでに択捉(えとろふ)島のヒトカップ湾から31隻の日本艦隊が北太平洋を静かに横断していました。
この大がかりな移動に気付かない者はいませんでした。しかし、艦隊内部の者は、今にこの航行の中止命令が出るかも知れないと疑心暗鬼でした。
ローズベルト大統領に連絡が入りました。
「いよいよ日本は来るか!大平洋だとフィリピンか、それとも真珠湾の基地だな」ローズベルトはほくそ笑みました。
「暗号とコースからしてハワイのようです」
日本の暗号は、ヴァネバー・ブッシュを中心としたアメリカの技術団に解読されており、作戦は筒抜けでした。それどころか御前会議の中身までもローズベルトは把握していました。
「そうか、真珠湾を攻撃する積りか。参謀総長のマーシャル将軍には伝えよ。しかしハワイにはひと言も警告してはならない」
ローズベルトはほっとしました。もし日本がイギリスのマレーシアやビルマだけを攻撃したら、アメリカ世論が立ち上がるか心配だったからです。(結局どちらも攻撃されましたが)
「マジック」と呼ばれる暗号解読によって、日米交渉を打ち切るという電文をアメリカは傍受しました。(続く)

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