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「読書感想文」生れ出づる悩み

これは、私が中学2年生のころの読書感想文です。「生まれ出づる悩み」という、有島武郎の書いた小説について。中学2年生にしては、ずいぶんと渋い本を選んだものだ、と思いますが。まっすぐで鋭く、そして幼さからどうにか成長していこうとするもどかしさに真摯に向き合う思春期だったのだな、と思います。 長くなりますが、よければ読んでやってください。そして、読みおえて一言なにか、中学2年生の私に言ってあげてください。

「生まれ出づる悩み」
「君が1人の漁夫として一生を過ごすのがいいのか、一人の芸術家として終身働くのがいいのか僕は知らない。それを軽々しく云うのは余りに恐ろしい事だ。それは神から直接君に示さなければならない。僕はその時が君の上に一刻も早く来るのを祈るばかりだ。」
この文を読んで、私も友達にこういうことで悩んでいる子がいたら、たぶんこう言うと思う。
私がとやかく言っても、それが本当にその子のためになるか分からないし、その子の人生は私が決めるものじゃないから。私はただ早くその子が自分の人生を決めることを祈ることぐらいしかできない。
私も、自分の人生は自分で決めたい。よく、親が決めたから、なんて言って会社の後をつぐ人もいるみたいだけど、そういうのに、私はなりたくない。
子どもの人生を決めつける親にも、親に決めつけられる子どもにもなりたくない。それは、親だって軽々しく決めるわけではないと思うけど、自分のやりたいことを人におさえつけられることほど嫌なことはないと思う。やりたいことは、失敗してもくやしいと思えることだと思う。それだけに、成功した喜びは大きなものになると思う。確かに、やりたいことができるっていうのは、私が考えるほど簡単なことじゃないと思うけど、私はやりたいことは自分で決めたい。自分の人生を自分で決められる自分になりたいと思う。人にたよらないで。
でも、自分の人生を自分で決めると言ってみたものの、人生を決めるなんてとても大変なこと。一度しかない自分の人生を自分で決めるのだから。失敗したら自分にすべて責任がふりかかってくる。挫折したら「自分の人生は自分で決める」なんて言った自分を責めるだろう。そう、自分の人生を自分で決めるということは、自分の人生に責任をとることなんだ。自分の人生を自分で決められる自分になるということは、自分の人生に責任がとれる自分になることだ。
私はもう中学生。服も自分で着られるし、そうじだって洗たくだってできる。
でも、まだ中学生。この本に出てくる「君」と呼ばれている人のように、自分の人生を決められないで、やりたい事はあるけれど、家で家族のために働いている人をバカだと思う。だから私はまだ中学生。やりたい事があるのに、父や兄が体をボロボロにして働いているのを見るとやっぱり、漁夫として働かなければならないと思う。でも山へ行ってきれいな景色を見ると筆をとって絵をかいて、やっぱり画家になりたいと思う。やりたい事をやりたいと思う。どうしたらいいのか決められないこの本の人のとてもつらい、苦しい悩みをまだ経験したこともないし、軽々しく、画家になりたいのなら画家になればいい、こんなことでこんなに悩まなくったってと思う私はやっぱりまだ中学生。これからどんなことで悩むのか分からないけど、最初になやむのは、高校受験のことだろうと思う。これも一つの人生選たく、人生の悩みだろうと思う。この本の人の悩みと比べたらそれは小さな悩みだろう。でも、自分の人生を決める足がかりとなるのだから、軽々しく決めたりはできない。
悩んで悩んで答えが出たとき、それは自分を見つけたとき。自分を見つけるなんて、わけがわからないけど、自分のあり方を見つけることかもしれない。自分はこうあるべきだと答えが出たとき、自分の人生を自分で決めたときかもしれない。神から直接、自分に示された答えかもしれない。
悩むことは、悩んでいる間はつらかったり苦しかったりするけど、答えが出たときは何かが生まれ出たようなそんな気がする。
この本を読んで、人は悩んで大きくなるものだと思った。何の悩みもない人は、それ以上のものを望まない。大きくなれないんだと思いました。そして、今まで書いてきたように、悩むことの大切さ、「人生」というものを考えさせられた。自分の人生を自分で決めるには、つらい苦しい悩みの答えを出して、自分のあり方を自分で見つけなければいけない。責任のとれる自分にならなければならない。そういうことを教えてくれた本でした。 
この本の「君」は答えが出たんだろうか。自分を見つけたのだろうか。私はただ、一刻も早く答えが出るように、生れ出るように祈るばかりだ。

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