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拝啓、楠木歩様   6.27


灰色な曇り空がつづきますね。すれ違う彩やかな雨傘の色合いに、梅雨入りの候を感じます。
いかがお過ごしですか?

先日はご丁寧なお返事、ありがとうございました。まさか、本当に届くと思っていなかったので、(もちろん、大いに期待はしておりましたが)びっくりでした。本物の住所だったわけですね。でも、これはとびきり嬉しいびっくりで、夕方、郵便受けにお手紙を見つけたときのドキドキといったら!!

その場でさっそく封をあけたいところをぐっとガマンして、手洗いや何やをすませ席につき、深くひと呼吸して、大切に開けました。

そうですね。名前と、住所しか知らない間柄。
それはとてもシンプルで楽しそうです。
歩さん(お言葉に甘えて、そうお呼びしますね。)の言う通り、年齢も、職業も、性別も知らない相手との文通というのは、いろいろから解放されて素直になれそうな気がします。

もちろん私も、そういった目的はありません。
あくまでも、文通相手として、よろしくお願いいたします。『精神性の高い』まさに!そういったやりとりを私も求めているのだと思います。
歩さんの綴られる丁寧な文字に、とても親しみを感じています。手書きの文字というのは、やっぱりとてもあたたかいものですね。
そして、文章もお上手なんですね。私は、読書が好きで、こうしたスッキリとした文章がとても好きです。

歩さんは、読書は好きですか?

私は、その時その時、読みたいものを読んできた感じです。小説もエッセイも、時には自己啓発本も読みます。

今の本棚には、江國香織、村上春樹、原田マハ、東野圭吾、ダンブラウン、あとはビブリア古書堂シリーズや、行動心理学、脳科学や、スラムダンクの全巻なんかも。

読書をしていると、容易に肉体を離れ、心はどこへでも行けるのだな、と思います。実際には訪れたことのないブエノスアイレスの、乾いた風まで感じたり、古書の匂いも、ひんやりとした石造りの教会の響きも。私というのはどうにも、現実だけでは生きていけないのだなと感じます。

そうそう!切手!
私が小さいころ一番好きだった本が、ピーターラビットの絵本だったのです。嬉しい偶然に、勝手に、とても素敵なご縁を感じてしまいました。
かわいい切手、ありがとうございます。

こちらは今朝は青空です。
自室の机で、これを書いています。チチチと鳥たちの声が響く静かで涼しい朝です。
昼間は蒸し暑くなるのだとか。そろそろ髪を切りに行きたくなります。

それでは、また。
お返事、楽しみにしております。

                藤本 柊


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