高血圧。
マクドナルドで、家族でポテトを齧りながらでの会話。
「塩分、つよっ。俺、もういいわ」
と、夫がポテトを諦めた。
「血圧高いもんね〜」
外は曇っていて、低気圧だ。
「今日みたいな、こういう天気の時は、塩分とるといいんだって、低血圧の人とか、低気圧に弱い人とか」
と、塩分強めポテトを齧りながら言うと
「俺、高血圧だからだめやん」
と腕をさすっている。
ほぼ自動的にポテトを齧っている娘たち。
「ねね、血圧ってどう測るか知ってる?」
と聞くと、
「こうやって、ウィーンてやるんでしょ」
と腕をテーブルに乗せて、空を見ながら言う。確かに、血圧計のウィーンの間は、どこか一点を見つめて「無」になる。
ポテトを齧る。
「血圧測るのはさ、あれだよ。風船をさ、膨らまして、お尻の下に入れて、パーンッて割れたら『ケツ圧が高い』ってことだよ?」
と、真顔でボケてみる。
次女と夫は、
「はいはい」
「しまったー、ちょっと笑っちゃったー」
と、いつものように受け流す。
三女はポテトを齧りながら、ポカン。
「ん?どゆこと?」
「だから〜、風船をお尻で割れたら、ケツ圧が高いねってことだよ」
「ん?え?」と、ピンときていない。
こうなると次女も、
「だからぁ〜『ケツ』圧だよ。
『ケツ』の圧!」
とアシスト。もう、立ち上がり、お尻の下に風船を入れて座るジェスチャー付きである。
「あ〜!!そういうことか!!」
と理解したとたん、椅子から転げ落ちそうなほど、笑いこけた。
よかった、ようやく、ウケた。
「よければ学校で使って」
とおすすめすると、
「いや、みんなギャグとか通じないから」
と寂しいことを言う。
さぞ、おやじギャグが染みついているベテラン教師には、生きづらい学校生活だろうな、と少し心が痛んだ。
我が家の子どもたちは、「お笑い」が好きで、お笑い番組や、吉本新喜劇は録画して観ている。授業中の先生のボケも、しっかり拾い、クスクス笑う。他の子が、ボケをボケとわからずにスルーしていても、クスクス。
「笑ってくれてありがとう、救われたよ」
チャイムの後、先生にそう言われることもあるそう。
ボケが通じないと、切なくなる。
ウケてもらわないと、恥ずかしい。
そんな我が家には、「歴代ウケたボケ」が日常に繰り返される光景がしばしばある。
「俺が小さい頃は〜」と夫が言うと、
「え?車あった?」とすかさず次女、
「あったわ!そんな昔ちゃう!」とツッこむ一連のパターンは、常習化している。
我が家でしか通用しないボケであり、ツッこみである。子どもたちは、それを学校で思い出して一人笑いしてしまうらしい。
「マスクがあってよかったわ」
ちなみに、家の近くにあるマクドナルドは、ポテトの塩加減が、基本薄い。たまたま、濃いときもランダムにある。濃いときは、血圧を気にする夫は食べ進まない。
ケツ圧だったらよかったのに。
まだ言う。
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