96分の1の洗濯バサミ
寝すぎた。
起きたら、1回目の洗濯物が干してあった。
2回目の洗濯機がピーピーと高らかに終了を伝え、水色の洗濯カゴによいせとうつす。
3回目の洗濯物を洗剤と柔軟剤とで回す。
階段を登って、「休日の朝に聴きたい曲」ミュージックリストをかけながら、パンパンと干していく。
シワものばして、形を整え、よく晴れて空が青すぎて、いろいろが青を反射している。
ドリップしたコーヒーをひとくち、ふたくち。キリマンジャロブレンド。
と、我が家の96個洗濯バサミ付き洗濯物干しの1つに、見慣れないものがヒラリ。
ガーゼ…?
キリマンジャロブレンドを、ひとくち。
はて。
うちにガーゼを使うような赤子がいたのはとうの昔のこと。ベビーバスに、ほわ〜っと漂い、片手でキュッと絞って、難しい顔をしたまだペコペコする頭を恐る恐る洗ったのは、とうの昔。母乳を上手に飲めない小さなお口を拭いたのもとうの昔。トントンして可愛らしいその体躯から本格的なオッサンみたいなゲップを耳元で聞いたのはとうの昔のこと。
何枚ものガーゼが海辺の干物屋さんみたいに干されていたのはとうの昔、なのだ。
いや、しかし。
これ、なんだろ?
キリマンジャロブレンドをふたくち。
すでに乾いたそのゲゲゲの鬼太郎味の強い、白い布切れを手にとると、メッシュもメッシュ、どうやら素材も布ではなさそう。
ふし…ふしょふ…フショフク…不織布っぽい。
( ゚д゚)ハッ!
そこで私は思い当たる。
洗面所にあった、華麗なるアイツを…!!
部活のジャージのポッケに入ってた使用済み汗ふきシートが洗われたのだ。
次女に見せると
「あ、さーせん」とのこと。
それにしても夫よ。
干しなさんな。
「洗ってまた使お♪」 やないねん。
うっかり「あのころ」なんて思い出して、我が子の成長を感慨深く「大きくなったな…」なんて遠い目をしてしまったじゃない。
なんのはなしですか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?