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サワサワしたい。

三女は動物が好きだ。坂上さんの動物たちも、いつもテレビで見ている。
モフモフしたものがとても好き。
そういえば、彼女のそれは生まれつきなのかもしれない。

彼女が赤ちゃんの頃、右手の親指をしゃぶって、その人差し指と中指の間に「サワサワしたもの」が必要だった。位置的に彼女の鼻の下にくる具合に。 指しゃぶりをしながら、鼻の下をサワサワすると安心するみたいだ。

その「サワサワしたもの」は、母である私の髪の毛がベスト、いわゆる‘基本’だった。そしてその頃、私の髪は肩につくほど長かった(私史上、最長)。

赤ちゃんの三女とゴロンしていると、彼女は執拗に髪を求めてくる。頭の近所を、指しゃぶりの「チュッチュッ」という音をしながら。

本を読んでいても、テレビを見ていても、メールを打っていても、チュッチュッと彼女の顔が近くにある。まだ赤ちゃんみたいな匂いの、暖かくしめった。

とはいえ、頭の位置をむやみに好きに動かせられないのは、えらく苦痛だ。チラと見ると、つぶらな瞳がドアップでいる。チュッチュッ。彼女がスヤッと寝ついてしまうまで。

んー。。。
さすがに苦痛になってきて。この「サワサワしたもの」は私の髪の毛以外はダメなんだろうか…と少し観察していると、

歳の近い次女とお昼寝をしていた時、うっすら目覚めた三女がスっと次女の頭に近づき、次女の髪の毛を例の位置に持っていった!
セッツ、アンド、チュッチュッ。

                 ✍︎ 次女の髪の毛でも可。

実家でみんなでゴロンとしていた時、私の姉のそばでゴロンとしていた三女がおもむろに姉の頭に接近、そのままその髪の毛を拝借。
セッツ、アンド、チュッチュッ。

               ✍︎ 私の姉の髪の毛でも可。

よしよし。
で、髪の毛じゃないとダメなんだろうか?と観察していくと。

実家で、そろそろ三女をお昼寝をさせようかなと見ると、もうすでに寝てしまっていて、驚くべきことに、彼女は実家の座布団の四隅から出ているちょろんとした房、をサワサワしていた! 
セッツ、アンド、チュッチュッ。

            ✍︎座布団の四隅の房でも可。

え。ソレで、いいの!?

こうなると、髪の毛っぽいもの、房状のものなら良いことになってくる。
というのも、そろそろ私も髪の毛をバッサリ切ってショートにしたかった。

そしてちょうどそんな頃、そろそろ彼女の2歳の誕生日が来ようとしていた。お誕生日プレゼントは何がいいかな〜と、いろいろ見ていると、素敵な出会いが!
もう即決、もうそれはベストアンサー。

ふふ♡

かくして、ロングヘアメルちゃんは我が家へ迎え入れられ、三女と仲良くお昼寝できるようになり、私はようやく髪をバッサリと切ることが出来ました。

✍︎ロングヘアメルちゃんでも可。

案の定、メルちゃんのヘアスタイルは、三女の日々のサワサワにより、常にもっさんもっさんでありました。

そして、ショートにした私の髪の毛にもやはり彼女はサワサワしに来るので(‘基本’に戻るときがたまにある)、至近距離でのセッツ、アンド、チュッチュッされる羽目になるのでした。


中学生になった彼女は、さすがにサワサワしに来ないけれど、ふわふわしたものやモフモフしたものが好きなのは変わらないようで。
猫のお腹をモフモフしたり、大きなぬいぐるみと一緒に寝ていたり、ミサンガを編んだりしている。

そんな彼女は、将来、動物関係のお仕事に就きたいそう。


サワサワし放題じゃないか。


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