爽やかに去る方法。
仕事の帰り(職場は実家なので実家からの帰り)道すがら、スーパーに寄る。夕飯の買い出しに。
さっきまで、運転しながらサウシードッグを聴きながら、三女が夏に辞めたクラブの仲良くしていた子のことを考えていた。学校は違っていたけれど、親子ともども親しくしてくれていたのに、直接挨拶もできていないままだなぁ、元気にしているかなぁ、などと。
だから、
「お久しぶりです!元気ですかー?」と、お魚売り場で、カートを押しながら声をかけられたときには、「へっ!?」と変な声がでた。彼女だった。
相変わらず爽やかで、薄着で、三女がクラブを辞めてしまったことも、ちゃんとお話もできずいたことも、久しぶりすぎることも、さっきまで私が考えていたようなあれこれなんかないように、カラカラと、「元気ですかー?」と笑っていた。すごいタイミングだ。近況を話して、また試合応援にいくね、と爽やかに、別れた。去り際まで爽やかだった。
お、買い出し中でした、そうでした。
いつまでもこのスーパーの、商品陳列のルールが飲み込めず、ウロウロしながらいると
「お久しぶり~」
今度は、長女の同級生のお母さん。販売登録者の白衣で品出しをしながら声をかけてくれた。
会えば挨拶をして話す、一見おとなしそうな彼女だけれど、意外と話出すととまらない。ことを、話つづける彼女に相づちをうちながら思い出す。
「大学生になったって、帰りが遅かったら迎えがいるでしょー?結局振り回されちゃって~」
完全にこっちに体ごと向けて、話つづける彼女、仕事中なのに。
「卒業してすぐに振袖決めにいったのね、あのころと趣味がかわっちゃったらどうしようと思って~」
あ。。ハーゲンダッツ買ったんだった。。溶けちゃうかな、結構長いこと話してる。
「お互い元気でやってるならよかった~、ごめん、またね」
いそいそと仕事に戻っていく後ろ姿。なんだろ、何だ、この取り残された感。
私は時々、立ち話の具合がわからない。相づちをうまく打って、そうなの~、大変だね~、そんなことある!?とかもはさんでいると(もちろん話はちゃんと聞いているのだけれど)、ずいぶんと長いこと話に付き合っていることに気がつく。
立ち話の域を超えた内容になることもある。
「この前ね、実は四人目を授かったんだけれど、だめになっちゃってね…」とか。
「旦那がクビになっちゃったのね…」とか。
スーパーで?偶然ばったり道端で?かなり久しぶりに会ったのに?話すこと?というような内容だったりすることに動揺する。が、とりあえず聞くのだけれども。
立ち話の域…。
そしてひとしきり付き合って話していたのに、「あ、ごめん、行かなきゃ」と取り残された感じがする。
スーパーの帰り道、とっぷり日の暮れた道を、サウシードッグを聴きながら。
爽やかに去る方法を学ぼうと思う。
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