【創作】最■の最■(仮)2【戯曲風】

登場人物

愛宕 咲(あたご さき)
常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう)
八重樫 望(やえがし のぞむ)
祈本 拓哉(きもと たくや)
魁 郁未(はじめ いくみ)

新幹線の車内
それぞれが荷物を置き、席へ座る

望「スキーウェア、苦しくない?」
拓哉「ぜんぜん」
咲「気が早い。ゲレンデ着くの4時間後だよ?」
拓哉「甘いな。俺は昨日寝る時から着てる」
咲「小学生じゃん」
祥一朗「気持ちは分かる。この年になってお泊り会みたいな事出来ると思ってなかったから」
望「正直言うと私も昨日興奮して寝付けなかった。駅着いたら起こして」
咲「じゃあ今の内に配っておくね」

咲が自身の荷物から小冊子を取り出し、皆に配る

祥一朗「旅のしおりか。懐かしいな」
咲「良い出来栄えでしょ。修学旅行をイメージしました!」
祥一朗「『今日は一日ゲレンデ三昧』『DVD三昧』『温泉三昧』・・・『飲み食い三昧』だけ様子がおかしい」
咲「他に言い方見つからなかったんだもん。美味しい食べ物とお酒をひたすらぐだぐだ楽しむって、美食っていうほど格式高くも無いしさ」
祥一朗「そうか?他の言葉・・・馳走とか美肴、佳撰、食道楽とか・・・」
咲「食道楽!作ってる時に訊けばよかった・・・」
祥一朗「ドンマイ」
拓哉「先生、してはいけない事に不純異性交遊って書いてあるんですけど、同じ屋根の下にいればそれはもう不純異性交遊じゃないんですか?」
咲「極端」
望「先生。不純異性交遊の定義ってなんですか?」
咲「穴と棒の言いなりにならない事」
拓哉「先生!不純異性交遊って・・・」
咲「場所考えてよ車両貸切じゃないんだから」
望「ツッコミ待ちじゃないの」
咲「見本にしたやつに書いてあったの!こんなにつっこまれると思ってなかった」
望「そりゃあ甘いよ。私はともかく拓哉がつっこまないわけないじゃん。下ネタ大好きなんだから」
拓哉「生々しいツッコミしたのはそっちだろうが」
祥一朗「魁、具合悪いか?」
郁未「ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
咲「どうせ彼氏の事考えてたんでしょ」
拓哉「え、やだ恋人いたの?ワタシ達一緒で大丈夫?」
郁未「嫌だって言われたら来てないよ。浮気じゃないなら良いよって」
拓哉「あら、良い男」
咲「どうだか。浮気じゃないならとか言って、ほんとは自分がしてたりして」
祥一朗「咲」
咲「だっていつもは郁未置いて好き勝手に一人旅してるんでしょ。それならって思って誘ったのに、なんでよりによって・・・」
望「なるほど、よりによって自分の誘いで郁未ちゃんのイチャイチャタイムを邪魔してしまったから罪悪感で八つ当たりしてるんですね」
咲「違う。恋人放置してる自己中男が悪い」
望「旅行に行ってる間の郁未が寂しそうだから一緒に行ってあげてほしい?」
咲「やめて!」
郁未「愚痴に付き合ってくれてたもんね。ありがとう」
咲「そんなんじゃないのに」
郁未「でも彼もスキーしに行くって言ってたから、もしかしたらゲレンデとかで会うかもねって話したんだよ。そうなったら逃げるって言ってたけど」
拓哉「彼氏の写真ある?」
郁未「うん」
望「逃す気無いな」
拓哉「当たり前。6人いたら遊べるゲームかなり増えるし、絶対楽しいし」
咲「そういえば、ゲームって宅配便で送ってるの?」
祥一朗「もう受け取ってもらってる。俺の好みで詰めたけどよかったか?」
咲「シヴィライゼーション!」
祥一朗「入れてる」
拓哉「コンテナ!」
祥一朗「もちろん」
望「十二季節」
祥一朗「拡張も込み」
郁未「途中で体力尽きそう」
咲「大丈夫大丈夫。糖分さえあればいける」
祥一朗「間にパーティゲーム挟めば飽きる事も無いだろうし」
望「勉強に飽きたから勉強する的な」
拓哉「フリークだフリーク」
郁未「咲ちゃん。会うかどうかも分からないけど、もし彼と会えて一緒に遊びたいって言ってくれたら、参加させてくれる?嫌だったらいいんだけど」
咲「・・・別に良いけど、絶対お世辞言わないしゲームに手加減しないからね。ぼっこぼこギッタギタのめっちゃめちゃにしてやるから」
郁未「ありがとう。嬉しい」
拓哉「よし、じゃあ彼氏さんの写真は共有しといて、なにやる?」
望「寝る」
拓哉「なんで?」
望「何でじゃないよ寝るって言ったじゃんさっき」
拓哉「えー楽しもうぜ。しおり読んだり観光パンフレット見ながらわいわいしたり、ゲームしたり何か話したりさ」
望「眠い」
祥一朗「じゃあヌメロンやるか?」
拓哉「なにそれ知らない」
望「タイマンゲームじゃん。ちょうど良かった。頑張って」
拓哉「よっしゃ」
郁未「咲ちゃんもやる?」
咲「いい。しおり見てる。郁未も見てよ、自信作だから!ほら、このページはゲレンデのイベント情報纏めてるんだよ。打ち上げ花火とかチョコフォンデュとかすごいよね」
郁未「・・・本当だ。すごいね」

郁未がスマホを取り出そうとポケットを探るが、今は持っていない事を思い出し止める。
楽しげに新幹線内での時を過ごす全員。

続く

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