春夏冬 しゅう

やり遂げた事を積む積むしていくだけの単純なアカウント。

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最近の記事

『急募:当方集合住宅住み。夜に周りにバレず鉢を割る方法』と訊きそうになった話

 世の中には後回しにして良いものと良くないものという区分がある。  例えば水道局から給水停止通知書が届いたら、後回しにするとマジで水道が止まってシャワーもトイレも使えなくなるため、自宅に帰って生活をしているなら早急に対応したほうが良い。 ※一応、給水停止作業をする前に、家のチャイムを押してくれる最後通牒はあるが、その時に留守だったり応対しなければ問答無用で作業は行われる。     しかし、そのような『早急にやらなければいけない、しないと生活に支障がでる』と意識できているものに

    • 初めてルバーブパイを食べた話

      子どものころに読んだ海外の絵本や童話に出てくるぶどう酒。 親たちが美味しそうに飲み交わすビール。 大人なお店から薫ってくる、とても香ばしく良い香りの何か。  食べたことの無いもの、食べれないものはなんであんなに美味しそうに見えるのか。 成人して色んなものをある程度自由に食べれるようになり、甘さと未知の美味しさでいっぱいになると思われたぶどう酒が実は渋さや酸っぱさが主だったことや、想像もつかないような美味しさなんだろうと思われたビールやあの香ばしい香りにぴったりな今まで感

      • 私好みのチャイを探して

         中学時代の修学旅行のお土産に買った生八つ橋。家族用にと言いつつ自分も食べる用に買ったそれを実際に口にした時のテンションの下がり方を、私は今でも覚えている。あれから20年近く経って、すでにニッキがどのような味と香りをしていたか全く覚えていないが、あの体験は私にスパイスへの苦手意識を深く深く刻み込んだ。  今は苦手じゃないんですけどね。  スパイスから作るカレーも好きだし、これから書くチャイもめっちゃ好き。子どもの頃は苦手だったレバーも調理法によっては美味しいと思えるし、味覚

        • (仮題)転生したのではやく死にたい

          講義の終了を知らせるベルが学内に響く。教授は話を打ち切ると板書した文字を手早く消して去り、学生達は次々に席を立ち、それぞれ教室を後にする。そして静かになっていく教室の片隅に、後頭部に窓から差し込む日光を受けながら女子学生が一人、穏やかな寝息を立てていた。 「あ」 教室を出ようとしていた一人の女子学生がその姿を目に留め、溜息をつき彼女に近づく。 「講義終わったよ。起きて」 「んー・・・・・・」 ぽんぽんと肩を叩かれた彼女はゆっくりと伏せていた顔を上げる。眩しそうに目を

        『急募:当方集合住宅住み。夜に周りにバレず鉢を割る方法』と訊きそうになった話

          明けましておめでとうが言いたい話

          『末夢』 「ヘイ、お嬢さん。除夜の鐘聞きに行くには早すぎない?」 砂利の敷かれた仄暗い駐車場から、飄々とした女性の声が飛ぶ。声の向かう先にいた早苗は視線で辺りを伺い、人気の無い夜道を確認し顔を強張らせた。着ていたコートの胸元を閉め、緩まっていたマフラーを整え口元を隠しながら早苗は声の主を一瞥する。駐車場の奥にぽつりとある街灯の下に一台のバイクが停まっており、そこに腰掛けたライダースーツにヘルメットの女性が早苗に向かって手を上げた。早苗は眉を顰め逡巡した後、ぎこちなく笑顔を向

          明けましておめでとうが言いたい話

          はじめて借りたあの部屋は「この」部屋だ

          都内10畳1Kで6万円。山手線の某駅から徒歩でも45分なので、かなりいい場所で良いお値段だと思う。 上京して専門学校に通うために、徒歩15分圏内で母親と一緒に探したことをおぼろげながらも覚えている。 それから10年以上住み続ける事になるとは思ってもいなかった。 思い返せばたくさんのことがあったなと懐かしい。 部屋が学校から近いから、専門学校で仲良くなった子に住み着かれたらどうしようなんて警戒したり。 (むしろ私の方が友達の家にお邪魔しまくっていたというのに) シングルサイズ

          はじめて借りたあの部屋は「この」部屋だ

          【創作】最■の最■(仮)7【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 魁 郁未(はじめ いくみ) ゲレンデのレストハウス内通路の端 咲が祥一朗を問い詰めている。 咲「いい加減にしてよ!」 祥一朗「・・・・・・」 望が周囲を気にしつつ近づいてくる。 望「もうちょっと声落として」 咲「・・・。郁未達は?」 望「バレンタインビュッフェの整理券貰ってくるって。・・・ねえ祥さん、何かあったんでしょ。話してくれてもいいんじゃない?」 祥

          【創作】最■の最■(仮)7【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)6【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 祈本 拓哉(きもと たくや) 魁 郁未(はじめ いくみ) ホテル内コテージの一室 持ってきたDVDの内の一つを見終わり、皆束の間の休憩をとっている 望「・・・郁未のドッペルゲンガー説?」 咲「やだ!郁未殺されちゃうじゃん」 望「でもホテルにいるんでしょ?そっくりさん」 郁未「どうだろう。実際会えたわけじゃないし」 咲「スタッフの人の言い訳でしょ」 郁未「かもし

          【創作】最■の最■(仮)6【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)5【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 祈本 拓哉(きもと たくや) 魁 郁未(はじめ いくみ) 先輩スタッフ 後輩スタッフ ホテル内コテージの一室 咲「おはようございます」 皆それぞれ返事を返す 咲「本日はDVD三昧です。皆さんそれぞれ見たい物を持ってきていただいてるかと思います」 拓哉「なに持ってきた?」 郁未「決めきれなくていっぱい持ってきちゃって」 望「なに持ってきたの?」 祥一朗「こうい

          【創作】最■の最■(仮)5【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)4【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 祈本 拓哉(きもと たくや) 魁 郁未(はじめ いくみ) 店員 子ども 母親 祖父 温泉内大広間 畳に広めのローテーブルが並べられ、座布団が置かれている宴会場 半分ほどの席が埋まり、利用客達が食事や酒を楽しんでいる。 その一番端の席に咲達は座り、食事を待っていた。 咲「あれかな」 望「違うでしょ。あのお姉さん全くこっち見ないもん」 拓哉「いや、あれだわ。あのビ

          【創作】最■の最■(仮)4【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)3【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 祈本 拓哉(きもと たくや) 魁 郁未(はじめ いくみ) ゲレンデ 子ども用コースの端 スキーやスノーボードを付けて郁未、咲、拓哉、望が立っている。 祥一朗はそこから更に外側、新雪が小高く積もった場所に大の字に横たわっている。 時折郁未が周囲を見回している。 望「それではスノースポーツ教室を始めます。スキー担当の八重樫望です」 咲「先生」 望「はい、愛宕さん」

          【創作】最■の最■(仮)3【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)2【戯曲風】

          登場人物 愛宕 咲(あたご さき) 常恒 祥一朗(つねづね しょういちろう) 八重樫 望(やえがし のぞむ) 祈本 拓哉(きもと たくや) 魁 郁未(はじめ いくみ) 新幹線の車内 それぞれが荷物を置き、席へ座る 望「スキーウェア、苦しくない?」 拓哉「ぜんぜん」 咲「気が早い。ゲレンデ着くの4時間後だよ?」 拓哉「甘いな。俺は昨日寝る時から着てる」 咲「小学生じゃん」 祥一朗「気持ちは分かる。この年になってお泊り会みたいな事出来ると思ってなかったから」 望「正直言うと

          【創作】最■の最■(仮)2【戯曲風】

          【創作】最■の最■(仮)【戯曲風】

          登場人物 魁 郁未(はじめ いくみ)・社会人。歩隆の恋人。 覚幸 歩隆(かくこう ほたか)・社会人。郁未の恋人。 冬・歩隆の自宅 テーブルで鍋を囲んでいる歩隆と郁未。 かけているラジオから天気予報が流れている。 ラジオ『・・・甲信越では強めの雪が降るでしょう。ウィンタースポーツをするなら・・・』 郁未「良かったね。ちゃんとスキー出来そう」 歩隆「あぁ」 黙々と食べ続ける2人 郁未「バイクに冬用タイヤってあるの?」 歩隆「無い事は無いよ、あまり出回ってないけど。で

          【創作】最■の最■(仮)【戯曲風】

          安井金比羅宮についての書き落とし

          半年以上前に京都の安井の金比羅さんにお参りに行った。 主目的ではなかったが、今でも残る衝撃度は金比羅さんのほうが鮮烈であったため、せっかくなので書き落としておこうと思う。 安井金比羅宮は、ともすれば見過ごしてしまいそうなほど静かに京の町に佇んでいた。 市バスの中で終点だか折り返し地点まで惰眠を貪り、寝起きのぼんやりした頭で停留所に降りたものの見つからず少し途方に暮れたくらいには穏やかな神社だった。 (京都最強の縁切り神社という概念というか偏見でおどろおどろしい様を想像

          安井金比羅宮についての書き落とし