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ヘルシンキサウナ紀行④Kotiharjun sauna: 雀と戯れるおじさんとハードボイルドサウナーランド

これぞハードボイルドサウナの真骨頂

Kotiharjun saunaは1928年創業のヘルシンキに唯一残る薪の公衆サウナだ。

まずKotiharjun saunaを訪れると目を惹くのは、外気浴スペースが大きな通りに面していることだ。海際やこじんまりとした中庭などに外気浴スペースがあることはままあるが、ここまで外の空間に開けている外気浴スペースは他にない。

サウナを出たところにある外気浴スペース(引用:https://sauna.fi/yleisten-saunojen-suojeluhanke-etenee/より)


それは日本家屋の縁側のように、Kotiharjunと外部との境界を消失させ、サウナのスペースを無限の世界へと拡張させている。ここで整うことを想像するだけで整ってしまいそうだ。

入口の受付で15€を支払ってロッカーキーを受け取る。入口横には冷蔵庫が設置されており、持ち込んだビールをその中に入れて冷やしておくことができる。

ロッカールームは、ヘルシンキの公衆サウナ界でもトップクラスに大きい。概ね50程度の木製ロッカーが整列しているのだが、耳を澄ますと、古びたロッカーからはここで繰り返されてきた癒しの歴史が聞こえてくる。着替えをして次のシャワー室で簡単に身を清めると、いよいよサウナ室だ。

味わいのあるロッカールーム(引用:https://www.destimap.com/index.php?act=attraction&a=Kotiharjun-Sauna%2C-Helsinki%2C-Finland&accel=1)

ここのサウナストーブは、何より超巨大だ。高さは3メートル超はあるであろう、真っ黒な釜型のストーブだ。ストーブ全体で約7000キロもの重さがある。また室内の壁や床は真っ黒だ。そのせいか昼間なのに落ち着いた雰囲気を醸し出し、ここが特別な場所であるように感じさせる。

サウナ室。左手にあるのが巨大サウナストーブ(引用:https://ecolededesignfinlande.wordpress.com/2016/02/21/kotiharjun-sauna/)

早速サウナ室内上段にお邪魔する。熱い。体感では105度程度だろうか。フィンランドサウナの割にはドライな部類に入るだろう。もちろんフィンランドの標準に比してという意味であって、サウナ錦糸町や巣鴨サンフラワーほどではない。

実際、ここは経験したヘルシンキのサウナの中で、最もサウナハットの着用率が高かった。大体5割くらいだろう。他のサウナでは1,2人いるかどうか程度であったので、ローカルの方々もKotiharjun saunaをドライに感じていることが推測される。

平日昼間に行ったためか、お年を召されたおじいさま達が談笑されている。フィンランド語なのでさっぱり分からない。しかし彼らが汗ばみながら楽しそうに話している姿を見ると、なぜだか心は通じ合えている気がしてくる。

彼らのローカルルールなのか、彼らはサウナ室を退室するたびにロウリュをしていく。釜の開け口が2メートルくらいのところにあるため、柄杓で水を投げ入れるようにしてロウリュする。室内はすぐに高温になるのだが、その暴力的なロウリュは美しくさえある。

雀と戯れて

サウナ室内を出て、シャワーで汗を流してからバスタオルを巻く。そして入口の冷蔵庫でビールを取ってから、いそいそと外気浴スペースに出る。

通りに面しているため、時折仕事をしている人たちが側を通っていく。人々が働いている間にサウナを味わうことには、なんとも言えない背徳感があるものだ。しかもビールを飲んでしまっている。

ふと目をやると、さっきまで一緒にサウナに入っていたおじさんが雀と話している。こんな自然豊かな環境で、整いながらビールを飲めば、そりゃ雀と会話できるのも合点がいく。さすがはムーミンを産んだ国だ。

雀とお話をするおじさん

まとめ

The 公衆サウナの代表格。どことなく、戦前から営業している日本の銭湯とも雰囲気が似ています。超巨大薪ストーブは日本でお目にかかれるものではありません。初めてのヘルシンキかつ1つしかサウナに行く時間がない人がいれば、このサウナをおすすめします!

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