〈倫理〉に関する仮説と哲学の四つの原理

★仮説
1.先験的な悪というものがあるのではなく、善を間違った使い方をすることが悪となると考えてみる。

2.ケアとは他者を招きいれることであり、他者(自然のような人間以外のものも含む)を招きいれる準備をすることが、ケアの〈倫理〉となると考えてみる。それは他者への気遣いであり、自分の中に他者を招きいれる余白(スペース)をつくることであり、責任を引き受けながらも他者に自らをゆだねて、自分自身が変化することを受け入れることだと考えられる。

3.共生とは、相互扶助のような関係だけでなく、折衝するなかで互いに干渉しない距離をおく棲み分けのような関係も含むと考えてみる。

4.倫理とは、自らの「意思」や「方針」からなる力ではどうにもできないものに向き合うような条件下で、生き延びるために磨かれる知恵や技術から生まれたと考えてみる。

5.自らの動きにともなう欲望と向き合いながら、他者との暴力的でない結びつきを、私秘的な境界を守る安全な世界と他者に何かをゆだねる不確実な世界を架橋するような方法を、どのように育てられるのかと考えてみる。

6.〈利他〉とは、何かを所有するという考えから一旦離れ、人間以外の存在も含めた他者が生活する自然や社会に還元していく、動きを分有していると考えてみる。

7.誰しもが、属性に引きつけられ相手を見誤る可能性、善き判断や実践を行おうとするあまりある一つの考え方を盲信する可能性、思わぬ出来事も含め自分の行動が擬い物や裏切りになってしまう可能性を持っていると考えてみる。

※1 実際の倫理には、人権尊重、無危害原則、善行原則、公正原則、説明責任と協働的な合意形成、社会的常識や道徳観やからみた整合性、法制度からみた視点などがあると考えられる。

※2 差別とは、特定の属性をもつとみられる人への不当な扱いであり、そこに一方的な力関係があり、非対称的な社会構造の歪みから生じると考えられる。

★四つの原理
一つ目の原理
「此のもの性」

二つ目の原理
「潜在的」ー「現働的」

「質的/内包」ー「量的/外延」 

三つ目の原理
「道徳」ー「分有」ー「社会的要求」

「私秘性」ー「享受」ー「親密性」

「倫理」ー「判断」ー「個人的応答」

四つ目の原理
「哲学」ー「思索、詩学、形式」ー「言表」認識・概念 形相因

「科学」ー「法則、質量、実体」ー「料理」相関・再現性 資料因

「芸術」ー「美、聖、善」ー「信仰」知覚統合 目的因

「工芸」ー「道具、技術、方法」ー「制作」実践・手作業 作用因


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