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【改訂版】紅楼夢レポ 前日深夜~当日編

寝る前

寝る前にみこうさんのHPの深くを掘っていた。隣のふとんでは化粧水を塗ったみこうさんが眠っている。今多分世界で一番もちもちしているのは隣にねむっているみこうさんだろう。前回の夜伽合同では合宿所を貸し切りにして皆さんでご飯とかを食べていたらしい。そのときのレポを見ながらコロナが無ければ、なんて考えたりした。昔から憧れたたくさんの物書き達と話して見たかった。話さなくてもただそこに存在を確かめるだけでも良かった。そういう漠然とした不完全燃焼感があるとともに、少しだけ安堵している自分もいる。仮にそういう場ができたとしてもそういう場面に自分がいることがあまりふさわしくないようなそんな気もした。なんというか顔も見ず、知らないことは知らないままでいることもまたひとつのあり方なんだろうなんていうふうにも考えた。そもそも皆ライフステージが進みつつあり、同人以上に大切な何かを見つけたのだろう。私もこの合同を最後にして少しの間活動が止まることだろう。報われないななんて思う。

気がつけば寝ていた。

前日の晩はみこうさんと夜遅くまで宝探しに興じ、謎の持て余した興奮を抱えたまま寝たが、目覚めはかなり良かった。当日は忙しいだろうから寝不足だと死んでしまう。当日はインテックス大阪まで車で移動して還りに京都によって飯でも食おうじゃ無いかというつもりだった。
朝ご飯は魚雷さんのおうちにあるパンをいただいた(魚雷さん、本当にありがとう)バリ島を模した部屋の中で食べるご飯は格別な香りがした。
魚雷さんが登場。鍵を渡して出発する。本当に優しい方だし気配りがこんなに行きとどいた人間を見たことが無いです。凡百のホテルマンをしのぐそのおもてなし力で映姫を養った私たちは紅楼夢に向けて走り始めた。本当に魚雷さんありがとう。彼の書いたSSである幻想郷にバスが走った日という物語は全年齢向けのオンラインSSで一番好きだ。いやすごいんですよめっちゃ詳しく語って良い? はい語りますね。

魚雷さんのSSについて

http://thewaterducts.sakura.ne.jp/php/waterducts/imta/?mode=read&key=1398528615&log=10


私は東方の日常に何か異物が入ってきた時のそのキャラクターの動きが好きなんですね。んでこの物語では木炭バスが入ってきてそれを巡る人々の動きが「さりげなく」それでいて「しっかりと」描かれているんですよ。5000文字に満たない短編でありながらそして三人称で割と引き気味に描かれる物語なのにキャラのそういう物への反応でしっかりとキャラクターの内面描写を行えているんですよ。

にとり→修理しようとする「にとりは、来る日も来る日も「あの乗り物」の事だけを考えていた。もう周囲の河童が興味を無くしても。」この描写だけでにとりの好奇心の強さは伝わりますよね。

レミリア・スカーレット→紅魔館営バスを幻想郷に走らせる。図書館の扉を足で蹴り開いて入って来た。扉はこれまでに3回修理されてるし、もう誰も何も言わなくなっている。っていう部分ですよこれだけでレミリア・スカーレットの過去と気性と好奇心の強さみたいなのが分かりますよね。

小悪魔→ それで巻き込まれる。

二ッ岩マミゾウ→ 昔気質の妖怪 彼女は出て行く。

これたぶん幻想入りしたものがあれば幻想から出て行く物があるということだと思うんですよ。いつまでも何もかも受け入れ続けるってわけには行かないでしょうから。そういうある種のつらさみたいなのも描きつつ感情的な筆致は避けながら低いトーンで書き綴られてます。最後の段落。この仕草での描写だけで小悪魔のささやかな同情とういか、やるせなさを表現しててすごい。ここすき。
その幻想入りした新しい「バス」が出て行く者達を送るのって本当に泣かせるなと思うんです。かっこいい、かわいい、強い。それだけがドラマじゃ無い。毎日の隙間にもこうしたドラマはあってそれをここまで丁寧に短く極限までそぎ落とされた文章で書けるのは凄いとおもいます。いや本当に。そしてその短い文章でありながら十分な情景描写ができてるっていうのも凄いですよね昔そそわになげた「コラム選」もこの作品をお手本にしながら書きました。全人類読んで欲しい。

続き

途中にコンビニによって必要なガムテープとアルコールを購入。

コーヒーとともに私は阪神高速をひた走る。大阪の道はなんかぐねぐねしているイメージだったけれど阪神高速の大堀当たりからの景色はかなり近未来っぽくてよかった。みこうさんと何部売れるかどうかとかそんなことを確かめたりした。当日は快晴。車も少なくて最高だった。サークル入場は八時半。

会場にはその時間ぴったりに到着した。

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インテックス大阪の屋上駐車場に運良く停められた。荷物を台車に積んで歩いてく。人の流れに乗ってエレベーターに向かう。そしてエレベーターは3Fで止まった。気がつかなかったけれどそこが会場のフロアらしかった。

入場

胸に貼ったシール、そして並ぶ人々。知っている人が居ないだろうか探すけれど見つかりそうも無い。そして思ったこととしてめっちゃ人が居るということ。皆期待に満ちあふれた表情で立っている。それがまた、イベントに来たのだと言う実感をさらに強めた。

スペースは6号館D 目指すところに迷いながらたどり着くと、スペースにはめちゃくちゃ大量の箱がある。設営をしながら「みこうさん、一緒に開けましょうね」と話す。この一年一番頑張った人と一緒に開けたかった。みこうさんは曖昧な笑みを浮かべながら手をそそくさと動かし続けている。ある程度片付いたところでみこうさんはリグル・ナイトバグになるために旅に出た。

そうこうしているうちに「すいません、見本誌を見せて下さい」と準備会の方が来る。もう待っていても仕方がないので開封する。

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新しいインクの香り。最高の画像。
この一年間みんなの協力のもとできあがった魂の一作品なのだ。
2秒ほど感慨に浸り、準備会の方に手渡す。一通りチェックして下さり問題ないとのことだった。一人でごそごそ準備をしていると鳥丸さんがやってきた! 数年前にあったきりだったけれどとってもイケメンで、優しかった。
近くのスペースのお手伝いにいらっしゃるらしい。あと参加者の喚くさんに挨拶をして新刊を手渡す。ふだんすごい作品を書いている最強のエロ作家だ。うつみさんとかもいらっしゃった。以前から仲良くして下さっている方だ。あとは数名いらっしゃった。隣のスペースの方と新刊を交換する。お互いの健闘を祈った。

やがて会場に人がなだれ込んでくる……かと思いきや静かに人が増えている。しろべるさんともここでご挨拶をする。今夜ご飯を一緒に食べよう。
なんか重装備をしている人が居るなと思ったらワイン色さんだった! 同郷の東方クラスタだ! 最近元気にされているようで嬉しかった。
合同はそこそこのペースで出て行く。あと夜伽マーケットと呼ばれる合同参加者さんの過去の既刊をまとめて隣に並べた。そちらに興味を持っている方も多く、そこから新作を手に取ってもらえることも多かった。嬉しい。

あばばばさんとも挨拶をする。途中であさぎさんのサークルにいく。

えぐちさんのさーくるが見つからなくて探していたら本人さんとお会いできた。めっっっっちゃうれしい。本も頂戴してしまった。いつかご一緒できるように頑張りたいです。。。

リグル・ナイトバグがスペースに来た(みこうさんだった)それからほどよく忙しく動き回った。少しトイレと喫煙所に向かってもどってくるとスペースに女性の方が居る。誰だろうかと思ったらゆかてんちゃんでした! 毎回思うけれどだんだん綺麗になってる。そして今回の合同にご参加下さったのだ。ありがとう。
以前はera東方合同も出されている。当日たくさんの方がera合同を指名買いされていて人気の強さを再確認した。それからひととせさんともであう。ひょうひょうとしたあんちゃんでしたいつもありがとうございます!途中でメロンブックスさんの本の回収が来られる。たくさん渡してからしばし休憩をする。喫煙所がないので車に戻って吸う。雲海さんとも挨拶できたありがとう!

いまだに落ち着かない、だが忙しい中で、みこうさんとパンを食べたりしながらスペースを守る。Boothで頒布した分がかなり捌け始めて焦る。
最後アトキンソンさんのスペースに挨拶に伺いたかったけれど間に合わず敗退。

そして閉場。

本をめろんさんに投げて、それから片付ける。
もうこれが最後の即売会かと思うと、少しあっけなかった。

このあと京都当たりでコロナ対策が行きとどいた焼き肉店でご飯を食べる算段になっている。7人乗りの車に5人の男と大荷物を積み込んで京都に向かった。阪神高速から第二京阪に乗り継ぐ。巨椋池あたりで下道に降りても良かったけれど、やっぱりお腹が減っているので最後まで高速道路を使っていく。

早めに到着したけれど焼き肉にありつけることになった。

打ち上げ

焼き肉にしたのは、コロナ対策のために空気の流れがあるところにしたかったのだ。みんなもお酒が入ってご機嫌になっている。とりあえずできることは少なかったがここに居る人々を軸にしてまた楽しいことを探しに行こうと思った。これまでの一年を思い出しながら煙草を喫煙所で吸った。長い一年だったように思う。この合同に参加して下さった皆さんの顔を思い浮かべる(顔を知らない人はTwitterのアイコンで代用している)まぁこれでおしまいになったとしてもみこうさんが作った夜伽へのリンクが夜伽に人を呼び込むだろう。少し賑わってくれたら嬉しい。そういう思いで作ってきたはずだ。
京都の町に夜の暗がりが広がり始めていた。駅前はタクシーが走り回り、夜の町も僅かに賑やかさを取り戻し始めているようだ。
あまりにも疲れていてすべての出来事に実感がわかなかった。この一年、大したことはしていないにもかかわらず神経はほどよく使ったのでそれがまだ抜け切れていないのだ。狭い喫煙所で煙草を吸ってから席に戻ってTwitterを触っていると

「夜伽閉鎖」
「?????」
「夜伽話閉鎖するらしいよ」

閉鎖

夜伽が閉鎖するのはどうやら以前から決まっていたらしい。んでこの合同が良いタイミングだったから終わったと言うことだった。かなりいろいろと言いたいこともあるけれどそれ以上にいろいろ察してしまって語ることを辞めた。みこうさんはさらに疲れたような顔をしていた。多分私も疲れた顔をしていただろう。なんともいえない気持ちになった。

皆さんと解散をして、多分これで終わりなんだろうなと思った。同人活動もしばらくはできまい。ただ最後に本はできた。それは良いことに違いない。

知ってる映画のサントラを聴く

ジョンウイリアムズのこのギターはめっちゃ好きだ。これが流れている映画が好きだったのだ。

ディアハンターという映画が好きだ。ベトナム戦争が終わっても元通りにならない友人達。間接的な話法と直接的な描写で人々の心を描き出す名作だ。あの最後のシーン、God Bless Americaを歌うシーンが何度もリフレインしていた。何かが死んだような気がしたのだ。そしてこのテーマソングが帰りの車中で何度も流れていた。
雨はいつまでも降っていた。助手席の窓が少し開いていたので本がぬれないように閉めるとあとはもうエンジンの低く唸る音以外何も聞こえなくなった。


おい!!!!!!なんだこのしょうもないお涙頂戴は!!!!メイの馬鹿!!しらない!!!
こんな終わり方俺は認めんぞ!!!
またなんか本を出すからな!!!!
その時は気持ちよくビールを飲んでやるノンアルコールだけどな!!!


というわけで本はこれ。
次はなんかSF合同か何かをします。
売れない本だがなんかやりたいです。


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