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鮭缶さん 🍋@canned_salmon 「ウイスキーキャットの矜持」(2014年)感想


一番好きな同人誌の感想である。 

ねこみこ
この四文字を見ると一人のフォロワーさんの顔が浮かぶ、そう鮭缶さんである。
かの某やにゃう学術研究会においては、その名を外して議論を進めることが出来ない存在である鮭缶さんが書かれた本書は、いまのところ私が読んだ中で一番面白かった同人誌である。「One of the best」みたいな適当な最上級じゃなくて「The Best」という超然とした位置にいる。
いや本当にこの小説の良さについて語らせておくれよ女将さん、今夜だけは、今夜だけは……。

①文章がすてき
 文章としての描写が映像的でなおかつ人物の動きなんかも素敵ですし、また言葉遊びがふんだんに盛り込まれていて最初の1Pを読んだら後はドミノみたいに最後までバーンと読み進めてしまうという魔術書のような文でした。歯切れの良い文章、鮮やかな描写と言葉遊びと、時折はっとするような人物描写、心情描写。全体的にパンパンとテンポがよくって最後まですっと読めたので本当に全人類読んで欲しい。こういう小説はそう簡単にその辺りには転がっていない。
文章を読み進める力って、基本的に「知りたい」という気持ちや期待感から来ると思うのですが、そのどちらかも刺激をしてくださり、まあ面白くて普通に声にだして笑ってしまいながら読めてしまいました。だからずっとこの文章読んでいたいなとかそういう点がたくさんあって前述した見せ方とか言葉遊びとか小ネタとかに加えて文章自体がとても吸引力があるという仕様でしたのでびっくりしました。

②原作っぽいこのお祭り騒ぎ感

 話は変わるんですがお祭りとかって愉しくて、不思議な空間ですよね。なんかずっと居たくなるんだけれど帰らなきゃならないっていう葛藤を生むくらい非日常性があって、夢の世界ですよね。この本読んだときの感覚は少年時代にお祭りに行ったときに感じたあの高揚感でした。
展開がとっても好きでして「自分の立ち位置」というかPlace to be.みたいな悩みというかそういうものに対しての頑張り具合そして、タイトルにあるウイスキーキャットと博麗霊夢との関係性。野性的でありながらもかわいく、強く、しなやか。悪魔のZみたいに美しく身をよじりながら走るみこ。そして咲夜さん。
 ドタバタした騒ぎと、紅魔館の日常とが織りなす物語は本当に好きでした。
重すぎず、軽すぎず、乾きすぎず、べっとりしすぎず、面白くて、考えて、笑って楽しむ、突っ込みのセンスが光る
東方の本でこんなに笑ったのは初めてで本当にすごいなって思います。ありがとうございます。

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