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システムとは何か?

日本で「システム」という言葉を聞くと、多くの人はITシステムを思い浮かべる。これは、ITシステムを扱うシステムエンジニアという職業が日本で広く知られていることが要因の一つであろう。しかしながら、「システム」という言葉は非常に広範な意味を持つ。

例えば、広辞苑によれば以下のように説明される。
「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」

この定義は、筆者がMITで学んだ定義に非常に近い。ここでのポイントは2つある。

  1. 相互につながった、あるいは作用を及ぼし合う複数の構成要素(entities, compornents)で構成されていること。

  2. 構成要素が組み合わさることによって初めて、何らかの共通の目的を達成するよう機能するもの。

言い換えれば、以下の前提もまた真であることになる。

  1. 構成要素に分解し、それぞれの要素の関係性を明らかにすることができる。

  2. 構成要素の総体として目指す機能が定義可能であること。

  3. 構成要素それぞれの機能の単純な足し合わせよりも、より高度な機能を発揮すること。

例えば、人間の身体はシステムである。構成要素は脳・内臓・手・足・胴など身体の各パーツであり、共通の目的は食物を消化して動くことかもしれないし、子孫を残すことかもしれない。あるいは、企業はシステムである。構成要素は経営者・従業員とし、共通の目的は利益を得ることと言えるかもしれない。家もシステムである。壁・屋根・床・窓などが構成要素となり、共通の目的は人間が快適に暮らすことと言えるかもしれない。

ここまで読み進めると、「システム」は何でもありじゃないか。という印象を抱くかもしれない。ある意味その考え方は正しい。「システム」は観測者が受け取った抽象的なモデルであり、結局のところ、上記の条件を満たすと受け手が説明できさえすればあらゆるものが「システム」と定義されうるこためである。例えば、苺パフェは生クリーム・苺・スポンジ・苺アイス・苺ジャムなどからなるシステムであることは想像しやすい。では苺アイスはどうか?これも苺・生クリーム・牛乳・砂糖・レモン汁などから作ったシステムと言うことができる。このように、システムはたいていさらに小さなサブシステムからなっており、こうしたシステムをシステムオブシステムという。

システム思考の出発点として重要なことは、システムの目的を明確にした上で、システムを適切な切り口で、適切な抽象度に要素分解(decomposition)することにある。さもなければ、あらゆるシステムは原子や素粒子まで分解され意味をなさない。この、「適切な」分解を行い、分析し、社会に役立てる考え方がシステム思考である。

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