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離人感、心身症、自律神経

離人感、あるいは抜け殻

自分が自分でない感覚
どこか他人事のようで、今どんな表情をしているのか一切の感覚がない状態
無、抜け殻
そのときの私の肉体は物質にすぎない
そういう感覚
この肉体は果たして誰のものなのか?
借り物のような気がしてならなかった
「地球上の生活、難しいな」と言い始めたときこそ冗談だったが、いつしか本気になっていた

この感覚に向き合い始めた頃に、『カラフル』を読んだ
自殺を図った主人公が輪廻転生の抽選にあたってもう一度人生を送ることになる話
<他人の身体>に違和感を覚えながらもだんだんと順応していく主人公
自分の感じている感覚はそれに近かった
この体は<わたし>ではない
魂は肉体と別物である、<わたし>は魂に自我を置いて生きている
肉体は入れものにすぎない
そのような考えが強まった本だった

***

いまだに思う。
この肉体との付き合い方がわからない
鏡を見ても自分であるという感覚は薄かった
写真に写る自分を自分の名前で呼ぶことに違和感があった
今は、少しは自覚が出てきたが、いまだに完全に一致した感覚はない

後々、病名をもらうようになり、心身症にも興味を持ち始めた

起立性調節障害は、自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。立ち上がった時に血圧が低下したり、心拍数が上がり過ぎたり、調節に時間がかかりすぎたりします。この疾患は自律神経疾患なので身体的要素以外に、精神的、環境的要素も関わって起こると考えられています。(社会福祉法人恩賜財団済生会,2016,「子どもに起こりやすい起立性調節障害」https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/od/)

心と体は別のものであるという感覚が強くなった
なんというか、これ以降肉体が制御不能であることがあまりに多かった
「かった」って、今もそうだけど。

起立性調節障害は、中学3年間で終わった。高校では過敏性腸症候群とされ、大学生の今、自律神経失調症の疑いをかけられている。

人間として生きるのは、あまりに高度なことであると思う
肉体はあまりに繊細であると、そう実感するしかない

対処療法ではなくて、根本解決をしたい

『カラフル』のラストシーンに、さわやかな風を感じたことを思い出す
自分が誰であるのか、どんな人生を送っていたのかを認めて、いきたい

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