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曖昧線に飛び乗って

こうしてnoteに日記のような雑記のようなのを書き出してから、よく過去のことを思い出すようになった。日常の中にそんなにいつもいつも話題があるわけではないから、ついつい過去からエピソードを引っ張って来るわけです。
今日もそんな不意に思い出される過去の場面があるので、書いてみたい。

一人暮らしをしていた学生時代から社会人2年目くらいまで、僕の移動手段の98%は自転車だった。
悪天候でどうにもならない日も傘さし運転をして、極力自転車に乗っていた。それでもしんどいときは交通機関を使ったけど、それはほんとに2%くらいのものだった。
良くなかったのだろうけど、自転車の運転中に音楽を聴いた。傘さし運転しながら音楽を聴く時もあった。今思えばよく事故を起こさなかったなぁと思う。車を運転するようになってわかったけど、そういうのが一番迷惑な人間だ。笑
それでも、ペダルを漕ぎながら音楽を聴き、何か物思いに耽る時間がとてつもなく好きだった。人間はなにか考え事をするときに歩いたりすると脳が活性化され考えがまとまりやすいとか言うけれど、そんな感じもあったのだと思う。とはいえ、ながら運転をしていい言い訳にはならないけどね。

当時画期的だと話題になったクリップ式のiPod Shuffleをカバンの紐に取り付け、音量の小ささにブーブー不満を言いつつ、愛用していた。
そのiPod Shuffleには(今では考えられないが)1GBしか容量がなく、何を入れるのかいつも悩んでいた。しかし、そんな選別作業も楽しかった。自分が持つライブラリから選出した精鋭たちを連れて歩いているような気分だった。
音楽を聴きながら自転車を漕いでる間だけ、なんだか無敵になれた気がしたのだ。

ある日、いつもとは違う道を走っていた。
そういう危ない状況で運転している、という自覚があったからなるべく車通りが少ない道をいつも選んでいたのだ。
しかしその日はなんとなく遠回りをしたい気分だったし、音楽も聴いてなかった気がする。帰りの方向はなんとなく分かるから、その範囲内でブラブラとしたくなる時が、男にはある。たぶん。
そこで僕はTSUTAYAを見つけた。
大きな道路に面した店舗で、すごく綺麗な店構えだった。おそらく開店して間もなかったのだろう。それまで僕が通っていたTSUTAYAはひどく寂れた店舗であったから、嬉しい発見であった。

そのTSUTAYAには、信じられないくらいの在庫があった。単純に自分が田舎者だということを差し引いても、そのボリューム感は圧倒的だった。
今までどこを探しても無かったようなCDや、自分が好きなジャンルをもっと掘り下げたようなコアなジャンルが、目に付きやすいようにコーナー化までされていた。どんだけ懐が深いんじゃい、とニヤニヤする顔を止められなかったのをよく覚えている。
店内を細かく見ていけば、なんと、気になったCDを持っていき試聴出来るスペースまであるではないか。こんな至れり尽くせりなスポットがあったのかと驚き、そして喜んだ。
そうして僕はそのTSUTAYAでいくつもの音楽と出会うことが出来た。あの寂れたTSUTAYAに通っているままでは出会えないような音楽と。お金がない学生だったからレンタルという形も大変有り難かった。とりあえずパソコンにインポートさえ出来れば良かったので、貸出期間を当日返却にしてレンタル料を抑えたりもした。
早い話、僕はそのTSUTAYAの虜になったのだった。

僕が自転車に乗っていなかったら、
その日遠回りする気にならなかったら、
天候が酷かったら…

そんな些細な要素の積み重ねのおかげで、得たもの。
ただの偶然だし、そこに大して意味なんて無いのだろうけど、必然性や意味を見出したくなる癖が僕にはある。
あのときああしていたから、ああしていなければ…と『if』の世界を飛び回って、今現在立っている場所を特別なものに変えていく。

だから、こうして毎日何か書いていたことがいつか大きな意味を持って…というか、大きな意味を感じさせるような何かに変わればいいな。

最後に、そのTSUTAYAで出会ったSpangle Call Lilli Lineというバンドの曲を紹介して終わりにしますね。SCLLはどのアルバムも大好きだけど、やっぱりこの曲がきっかけだったし、一番印象に残ってるな。
あ、ほらやっぱり、そういう『きっかけになったから』とか意味を持たせてる。癖だな。


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