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聴いたものの感想文+α

★蓮沼執太フィルのセカンドを聴いた。

前作「時が奏でる」がとても好きだったので、蓮沼執太個人ではなく、フィルとしての新しい作品を作ってくれたのがまず嬉しかった。


今回の「ANTHROPOCENE(アントロポセン)」は、前作に比べると、やや難解に感じた。16人編成の音源だからロックバンドとは全然違って、音がとても緻密になる。譜面を追ってるのがわかる、というか。いやそもそも音楽ってそういうものなんだけど。だからそういうクラシック的な側面もあるし、かと思えばラップがあったりシンセが鳴ってたりという、過去と未来を内包した現代の音楽、という感じがする。前作ではそれを出来るだけポップに鳴らそうとしていたのだけど、今作ではより深みに行った印象を持った。
しかしながら、蓮沼執太氏のボーカルはどうなのだろう。下手…ではなく味があるともいえるのだが、前作より気になるところが多くなった印象。あれ、こんなボーカルだったっけなと思ってしまった。
木下美紗都の歌はとても良い。無機質でクールな声質だけど、蓮沼氏が作るメロディを歌うととても人間味が溢れる感じがする。
そういえば、作品全体からそういう人間味というのを感じる。
こうして聴いてる音源はもちろんデータ化されたデジタル音声なのだけど、声を出すために声帯が揺れているとか、鍵盤を押さえるのにどれくらいの力を込めているのかとか。そういうダイナミクスが豊か。
現代の最先端を鳴らしていながら、そういう原始的な、肉体的な、動物的な躍動も感じる、いい作品だなぁと思った。
ちなみにタイトルであるアントロポセンとは、「人新世」という意味で、「人類の時代」という意味だそうです。


★佐藤千亜妃の「SickSickSickSick」を聴いた。

きのこ帝国のフロントマンである佐藤千亜妃のソロEPである。

この人の声はとても良い声だなぁと思う。湿っぽいというか、スモーキーというか。声の輪郭がまるく、耳触りが良い。
声にしろ音楽にしろ、こういう湿度の高いものが好きだったりする。天気で言うと雨とか、雨が降る前の曇天とか、そういう感じ。
すごい、イメージでしか伝えられない。

このEPは砂原良徳と共同プロデュースらしい。まりん。
まりんの音作りはすっごくかっこいいなと思う。こういう電子音楽的アプローチをするとすぐにおしゃれサウンドとかいうのだけど、まりんのそれはおしゃれとかそういうの通り越してる。Love Beatとかなんであんなにかっこいいの。

フルアルバムではなく、EPというのがなんか良かったな。フルになるともっと構えてしまうから。
夏の体感温度をすっと冷ましてくれる、そんな感じがしました。


余談。
クラシックギターというのをじっくり触ってみた。アコギやエレキばかりあって、クラシックギターは身の回りになかったのでいつかは欲しいとは思いつつ、そんなに使う場面があるのかと、入手していなかったから。
アコースティックギターとの大きな違いは弦の種類で、クラシックギターはナイロン弦を張るのが一般的だ。このナイロン弦の音というのがとてもいい。鉄の弦に比べると優しい音になり、すごくソフトなのだ。
本来であればクラシック曲を演奏するのだろうが、普通のコードを弾くのも、良い。
このクラシックギターの音色もまた、体感温度を下げてくれるような気がした。(どんだけ体感温度下げたいんだろう)

音楽には、そういう力もありますね。

こんな駄文をいつも読んでくださり、ほんとうにありがとうございます…! ご支援していただいた貴重なお金は、音源制作などの制作活動に必要な機材の購入費に充てたり、様々な知識を深めるためのものに使用させて頂きたいと考えています、よ!