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「さよなら」をこわがらない

Twitterのフォロワーさんから知ったNHKのラジオ番組、「夏休み子ども科学電話相談」を聞き始めた。

聞き逃しのための配信もしてくれているので、23日から始まった最初の放送から聞いている。

内容はシンプルで、夏休みの期間中、昆虫、植物、動物、科学、宇宙、ロボットなどに関する子供からの純粋な質問に、様々なジャンルの専門家たちがこたえる、という番組だ。
たまにギョッとするような質問があったり、なんとも可愛らしい質問があったりして、それにどう応えるのかというのが大きいお友達であるぼくみたいな人間にとっての聞きどころである。

ひとつ例を挙げると、ツイートもしたのだけど、「宇宙に壁(果て)はあるんですか?」という質問。
それに、先生は「結論から言うと、ありません」と答える。そしてそこから、「ではなぜ無いのか」という説明をとても分かりやすい言葉を選んで行う。が、宇宙の話は規模が大きすぎて小学3年生にはイマイチ理解が出来ない。宇宙が膨張しているだとか、そういうのって大人でも分からないことだから仕方ないんだけど。

そこで先生はその場の回答として、「今はわからないと思うから、心の中にしまっておいて」と諭す。これから大きくなっていくにつれて、少しずつ分かっていくこともあるから、と。
「わからないものはしまっておく」という表現が素晴らしいなと思った。分からないだろうから今は考えなくていい!という諦めとか切り捨てではなくて、自分の中で疑問を育てる、とも言えるのかな。「ハテナ」と共に暮す、というか。謎と共存するというか。それが逆に知的欲求を駆り立てるだろうし、子供じゃなくても考えさせられる一言だった。

こういったふうに、大人として、そして専門家としての立ち位置はありつつ、子供と同じ視点で謎に向き合っている姿がとても素敵だな、と思う番組である。

この番組では、疑問が解決したときに、「〇〇ちゃん(くん)、今日は質問してくれてありがとう」と、必ず伝えている。質問することは悪いことではなくて、むしろ大事なことなんだよというのを感謝として伝えるのだ。
そして、「さよなら」と言う。この「さよなら」が、なんともいい。

「さよなら」という言葉は別れの言葉だからどうしても寂しさを伴ってしまうのだけど、この番組における「さよなら」は、なんだかとてもあたたかい。すごく血の通った「さよなら」な気がする。
思えば、学校では毎日「せんせいさようなら、みなさんさようなら」と言っていたことを思い出す。「またね」でも「ばいばい」でもない、「さよなら」。

大人になるにつれ、沢山の別れを経験してきた。いっぱい、「さよなら」をしてきたのだ。いろんなものに対して。
その経験が、「さよなら」をとても重い言葉にしてしまったんだと思う。それくらい、別れは悲しくて寂しい。

だけど、「さよなら」は決して今生の別れを意味しているわけではない。
語源的に言えば「左様なら」というもの。ただ、その場の会話が終わって一段落したときの挨拶である。それじゃ、行ってくるよ、みたいな。
別れを恐れて「さよなら」と言うのにためらいを覚えていたけど、こんなにもいい言葉だったんだなぁと思えた。

夏の暑さにヒィヒィ言っている今日このごろだけど、この番組を聞いて、癒やされようと思う。本当に素敵な番組だ。


最後に、Mr.Childrenの「空風の帰り道」という曲の歌詞を一行だけ。

「さよなら」は悲しい響きだけど
君とならば愛の言葉


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