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『調べる 聞く どっち』【検索】

↑、素敵なイラストだなぁ。色合いが好き。

そういえば、こんなことがあった。(そういえばの使い方おかしい)
ある日、姉が産んだ娘の体調が芳しく無く、心配した母が「病院行った?」と姉に聞くと「調べてみたら大丈夫みたいだからまだ(行ってない)」と返した。母は慌てて「そんな!素人判断は危ない!些細なことでもいいんだから病院連れて行ってあげて!」と言ったのである。

インターネットを使用して、疑問をすぐに調べられる時代になった。それも、パソコンではなく小さいスマホという端末が普及してからは尚更スピーディに。
僕らくらいの世代はそんな時代に造作なく順応して、利便さの恩恵を受けに受けまくっている。わからない漢字や、不安な精神状態、身体状況に遭遇したらすぐに調べている。例えば「背中 左側 痛い」なんていうとても細かい検索にも対応してるのだから依存してしまうのも仕方ない。
僕らは不明なものを目の前から徹底的に排除していくように、日々、検索を繰り返す。

昨夜知人のお通夜に参列したと日記に書いたが、そこでこんなことがあった。そういえば。(そういえばの使い方ヘタクソか)
僕が座った席の左隣に60代くらいの女性が座っており、後ろの列に居る知り合いに「マナーモードがわからんのよ。変えたばっかりやけん」と言い出した。隣にいるのだから、もちろん僕にもそれは聞こえた。後ろの列にいるお知り合いは「電源を切っときなさいよ」とアドヴァイスしている。ごもっともである。
しかし女性はどうしてもマナーモードにしたいのか、しばらく煌々と光る画面とにらめっこをしている。横目で、少しだけ画面を盗み見る。どうやらiPhoneではない。どこのブランドかもわからないスマートフォンだ。
僕は頭の中で「もしなにか聞かれたらすぐにその端末に表記されているだろう型番なり機種名なりを調べ、『(機種名) マナーモード 方法』などと自分のiPhoneで検索すればなんとかなるだろう」と考えていた。
その一分後くらいに「あの、」と声をかけられた。キタキタ〜なんて思いながら「はい?」と返すと「マナーモードにしたいんですけど、わかりますか?」と困ったような笑顔を僕に向けている。女性にこんな顔をされたら断ることなど出来ないだろう。僕は「ええと…」などと白々しい声を出しながら、今度はしっかりと彼女のスマートフォンを見る。
画面は既に設定画面風なモードに切り替えられている。そこに「サウンド」といういわゆる例のスピーカーのマークがあったので、とりあえずそれをタップした。それで、もしよくわからない階層に入っていってしまったら画面下方に表示されている『←』を押して戻り、考えていたような検索を行えばいい話だ。
すると「サウンド」という表記が「バイブレーション」という表記に変わった。すかさずもう一度タップする。次はスピーカーマークに大きく射線が入れられたものになり「サイレント」という表記に変化した。つまりは、成功したのである。
「これで多分、大丈夫ですよ」と言うと「すいません、ありがとうございます、変えたばかりで分からなくて」と謝罪と感謝と言い訳を連続して伝えられた。日本語って凄い。僕は「いえいえ」としか言えなかった。

分からないものを検索するのか、人に聞くのか。

僕は当たり前に『まず検索』という意識で居るけれど、人に聞くのも悪くないな、と思った。些細なことでも、誰かに頼られて疑問の解決に貢献できるというのはなんとも気分が良いものだったからだ。こんな気持ちは、きっと検索しても出てこない。というかシンプルすぎて検索の仕方がわからない。「おばさま 話しかけられて 疑問 解決」なんて検索してどうしたいのだ。

それは、それこそが、コミュニケーションというものだからなのだろう。
どれだけ世界がインターネットに依存したとしても、肩をぶつけ合うくらいの距離感に居る人とのコミュニケーションを断つわけにはいかない。こんな時代だからこそ、そんなどうしようもないくらい当たり前のことが重要になるのだろうな。

なんて事を思いました。
昨日のおばさま、今度マナーモードにするときはその方法を忘れてないといいな。でももし忘れてたら、その隣に分かるような人がいたらいいな。

こんな駄文をいつも読んでくださり、ほんとうにありがとうございます…! ご支援していただいた貴重なお金は、音源制作などの制作活動に必要な機材の購入費に充てたり、様々な知識を深めるためのものに使用させて頂きたいと考えています、よ!