マガジンのカバー画像

Brain Sentence

17
小説ですたい。ノリで書き始めちゃうことしばしば。
運営しているクリエイター

2015年10月の記事一覧

エンプティ②

耳元で雨音が鳴り響いていた。

僕はもうすでにびしょ濡れと言っていい状態で、持っていた上着は衝撃でだろうか、3メートル程飛ばされていた。

「今、確かに声が…」

雨音は変わらず鳴り響いている。

いやいや、そんなわけない。僕は幻聴でも聞いたんだと自分を納得させ、雨に濡れいつにも増して重たく感じる身体を起こした。

「僕も急いでたから、ほんとごめんなさい」

僕は慌てて身構えた。幻聴じゃ…ない。

もっとみる

エンプティ①

職場の裏にある狭い路地を歩いていた。

その日は生憎雨が降っていて、傘を忘れた僕はスーツの上着を脱ぎ、それを頭に被って小走りをしていた。

「雨なら雨って言えよ馬鹿野郎が…」

イライラしていた。

先刻上司に言われた理不尽な言葉や、朝出社する際でもベッドで眠りこけている妻の葉子や、シャツの外れかかったボタンや、SNSに投稿されている友だちたちの自慢にも思える日記や、昔付き合っていた女が結婚するら

もっとみる