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30年前の少年院(10)


前回、事件の内容をざっと書きました
詳細省いた部分も多々ありますが、今書いてもいいと思うのはあれだけです


そして少年院に話を戻します
朝はスピーカーが入る音で一斉に飛び起きて布団をしまい、点呼を待つ事から1日が始まります

それぞれの部屋には室長がいて、部屋の代表として点呼をします
そういえば学校に通っていた時代にはなかった気がするけど、整列しての点呼の時にケツかマンと最後に申告するというルールがありました
例えば2列に並んでいたら、最後尾が1人ならケツ、2人いたらマンです
恐らく「欠」と「満」だと思います

12人が2列になっている時には1.2.3.4.5.6、マン
という感じで6人目の隣の人が言います
これで6+5ではなく6×2というのが伝わるということなんですが、学生時代にはありませんでした
ちなみにケツの時は確か6人目が6を言わずに答えてたような?


そんな感じで始まる1日ですが、少年院の一日はそこそこ忙しいです
掃除が朝夕、食事、作業や勉強、更正プログラム的なもの、行事、運動、余暇も一応あります

いくつかの中から選ぶ職業支援的なやつもありました
今はどんなのがあるかはわかりません
…が、なんせこちらは30年前です
若い人は知らない気もしますが、ワープロです
他に何があったかは忘れたけど包装紙で綺麗に梱包する小売業何とかなどもありました
あとは漢字検定や珠算などもありました
レース編みもやらされたけど手芸関係全般苦手なのでこれだけは苦痛でした
とはいえ、何とかでこぼこのコースターを作った事は記憶しています
凄い子はカーテン作ってました笑

少年院には階級があり、それが上がって行くと出院が見えてくる仕組みです
名札の色が分かれてた気がします
1上、1下、2上のような感じで1が上です
トラブルを起こしたり何かしらの違反があると場合によっては昇級できなかったり最悪降格したりします

今は7時起床という話も聞いたけど当時は6時半
小学校の寮は6時20分起床だったのでこんなもんかと思っていました
就寝は確か21時です

運動も、普通に持久走する日もあるし、他にエアロビクスや薙刀、太極拳などをやる時がありました
どれも初めてやる事なのでわたしは楽しかったけど、もちろん嫌がる子もいます
だけどやっぱり社会にいた頃には未体験な事も多いので割と楽しんでやってたような気がしました

肝心なのは事件別にというか薬関係の子達とそれ以外いくつかに分かれてのカリキュラムがあります
あった事は覚えていますが…ぶっちゃけ何してたか覚えていません
何かを発表したり、人の話を聞いたりしていた朧気な記憶です
大事なのはここなんですけど…

ただ、輪になって座ったこと、発表したりそれを聞いたりしたこと、他の事件の子は同じ部屋の別の場所に輪になって同じような事をしていたこと、などは覚えています

そこで事件の少し詳しい話を知ったりしたので自分の事件を語る場があったのかもしれないですね


わたし達には1人に1担任がつきます
担任は何人もの子を受け持つ形ですが、面談などは常に個で行います
内省ノートという交換日記のようなものがあり、わたしは担任とバトルしてたようです
何のバトルだろう…



退院後に珠算の賞状と共に送られてきた担任からの手紙

ちなみに担任とは出院時に「次は栃木(刑務所)で会おうな」「会わねーわ!笑」というやり取りしたのをよく覚えています

会わなくて済みましたが、正直言うと出院後も品行方正とは行かず数年はまだ落ち着いた暮らしはできていませんでした


この担任、割と嫌われていました
でもわたしは好きでした
特別優しい言葉をかけたりはしないけど、はっきりした物言いや何でも大人側の言い分を正しいとしない所が好きでした
みんなは、厳しい、うるさい、意地悪、言い方きついなどと言って嫌ってたけど、ヘラヘラして優しい言い方する先生がいたのでそれよりいいと思っていました
結構口喧嘩もしたし、でもそれで処分されたことはなかったです
言いたい事は言っていいのです
ただの反抗はダメだけど、討論はOKという感じでした
ルールは破るのはダメだけど、納得行かない事を口にする事は大丈夫
それって社会でも同じかなと思います
頭ごなしに押さえつける大人しか知らなかった子達もたくさんいるので、大人側が聞く姿勢も更正への一歩になるんだなーとこの歳になると思いますね

とにかくこの担任とはバトルもしたけど割と仲が良かったりもしました
オススメの本を借りたり、でもノルウェーの森は死にたくなる可能性あるから興味あるなら出院後に読めと言われたのは印象的です
そしてまだ読んでません

勉強する時間、小学生のドリルから始めている子もいます
わたしは最初は漢字が好きなので漢字検定の勉強をしていました
でも飽きっぽくて続かず、中学生ドリルやったり投げ出したりの繰り返しです
見兼ねた担任が、1冊の英語の小説を持ってきました
それと英和辞書
退院するまでにこれ1冊を和訳してノートに書き写す事を提案されました
内容は恐らく日本にもある漫画かアニメのSFモノでした
ダーティーなんちゃらだったかな
わかる人いたら教えてほしいくらい今も気になってます
和訳はきっとめちゃくちゃだったと思います
でも、調べた単語をいくつか書いてそれに繋がるように文章を構成する作業がとても楽しかったのは今も覚えています
答え合わせも別にないし、完成したのはギリギリだったので読み直したらそれなりの物語が読み取れるかどうかも確認できませんでした
でも楽しかった

退屈な時間を少しでも学びに変える為に興味持てそうな事を探してくれたんだと思うし、今も感謝してます



次は行事について書くかもしれません
よろしくお願いします

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