安いということと、犠牲になるもの

ある回転寿司の炎上に関する記事を読んで、非常に気になる点があったので。
noteからのメルマガに元記事の掲載があったので、先にそちらを読んでもらった方が良いかも。

求めないっていうことは期待していないっていうこと。108円を求めておいて、アルバイトが厨房で遊んでいたのが分かって「けしからん!」って言うのは傲慢すぎるなぁと。

こんなくだりがあったのだけれども、寿司は108円だけじゃないし、客は別に一番安い寿司だけを求めているわけではない。
それに、提供する品物が安いことと、アルバイトがいい加減な仕事をしたり悪ふざけをすることに、相関関係は存在しない
単に、悪ふざけをしたアルバイト個人のモラルの問題なのである。
客は決して多くを求めているわけではなく、そこそこ安心安全な食品をそこそこ安全な場所で提供して欲しいという最低限の欲求があるだけ。
なにも、高品質で最高に旨い寿司を求めているわけではなく、寿司を食べたいという欲求を満たしに来ているだけなのである。

それなのに、アルバイトが厨房で遊んだり衛生的に著しく問題がある悪ふざけをしたりというのは、安心安全な食品を提供するという企業努力を無にするものであって、客の最低限の要求を無視するものなのだ。

それに対して上記引用のような意見が出るのは、それこそ傲慢に過ぎるのではないかと思うし、記事の中にある

安いっていうことは、いろんなものが犠牲になっている

というのは、本来犠牲にしてはならない「もの」まで含まれていることまで許容しているように読み取れてしまう。

こんなくだりもあった。

その安さを追い求めて、企業努力で追求していった結果が、技術も安心も持たない安い人件費で働いているアルバイト寿司屋の動画炎上でしょう、と。

安い人件費と動画炎上を、完全に関連付けてしまっているような言いようである。
企業が適価であると判断して売っている物に対して「安いんだからアルバイト店員の悪ふざけくらい許容しろ」とでも言いたげに見えてしまう。
いやいやいや、そういうことではないだろうと。
一般的と思われる程度のモラルを持った人間であれば、遊んだり悪質な悪ふざけをしたりすることはない。
だが、炎上動画を投稿したアルバイト店員はそれを実行した。
あまつさえ、動画を撮影してネットに投稿した。
つまり、普通の人の想像を遥かに絶するレベルで、著しくモラルに欠けていたのである。

繰り返しになるが、アルバイト店員の悪質な悪ふざけに、低賃金と低価格との相関関係は、全く存在しないのである。
このことだけは、履き違えてはならない重要な点なのだ。

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