見出し画像

最新のiPhoneやスマホでは撮れない、写真表現力の一つ、圧縮効果と遠近感とは、どんなものか?

以前、最新のiPhoneやスマホでは撮れない一眼レフ特有のスーパーレンズについて紹介した


☆☆☆



さらにレンズ交換式カメラに望遠レンズを装着したときの多彩な写真表現力についても書いた。

今回は、写真学校で習う焦点距離を変えたときの表現の一つ。

遠近感(パースペクティブと言う)と、圧縮効果について見ていく。

遠近感とは超広角レンズを装着したときに出せる写真表現力であり、肉眼では視認できない絵作りのことである。


中学の美術の時間で習ったイチョウ並木を描く時、手前のイチョウの木々は大きく、遠くのそれは小さく描く

それが写真における遠近感、遠近効果である。

超広角と言うのは35ミリ換算値における24mm以下のレンズを言う。

実は最新のiPhoneでは焦点距離13mmのレンズが既に搭載されている。

SONYのXperia 5でも焦点距離16mm F2.4のレンズが搭載されているものの、写真学校の教科書などを読んでいるスマホユーザーが少ないため、遠近感を意識して写真を撮ることがない。

よって、スマホでもこういう写真が撮れるということを、見ていただけたらと思う。


今後スマホやiPhoneで撮れるようになる写真



■超広角レンズを使った遠近感の作例(その1)

出典:ガンレフ

木造廊下の幅は同じなのに、手前は広く、遠くは狭く・小さく写し出す

これがパースペクティブ。遠近効果。


■超広角レンズを使った遠近感の作例(その2)

出典:ガンレフ

ガラスの巨像は同じサイズ。

だけど、手前は大きく、遠くにある巨像は小さく描写される。


■超広角レンズを使った遠近感の作例(その3)

出典:ガンレフ

列車の車両幅は同じなのに、手前は大きく、遠くの車両や建物は小さく写る。

この様な写真表現は既にスマホでも撮影可能である

知識として頭に入れておいてほしい。

また、撮り方のテクニックとしては、手前の被写体にできる限り近づくこと。

をおすすめする。

すると手前の被写体が非常に大きく、背景の被写体がとても小さく、ダイナミックな写真になる


次に圧縮効果。

圧縮効果とは背景にある被写体が拡大され、迫ってくるように圧縮される写真表現のこと。

遠近感は手前が大きく、遠くは小さく。

圧縮効果はその逆で、背景にあるモノ、遠くにあるものが大きく拡大され、迫ってくる

作例を挙げる。


■圧縮効果の作例(その1)

出典:ガンレフ

本来、遠くにある山々がド迫力に拡大され被写体の電車に迫ってくる感覚。

これが圧縮効果。

そのうちiPhoneにも実装される。


■圧縮効果の作例(その2)

出典:ガンレフ

遠くにある太陽がド派手に、被写体に迫ってくる。

これが圧縮効果。

あと1,2年もすれば最新のスマホやiPhoneでこの様な写真が撮れる


ちなみに、圧縮効果はもう一つの撮影スタイルがある。

それが圧縮効果を使った近接撮影(望遠マクロ)である。

小さな背景を大きく写す効果とはこういうことにも使える。


■小さな桜の花びらが大きく拡大され、背景が桜色の絨毯になる

出典:ガンレフ

1枚1枚は小さな桜の花弁がド迫力に拡大される。

よって桜の絨毯が出来上がる。

圧縮効果を使った、望遠レンズの魅力の一つが、これ。

近接撮影。望遠マクロ。


菜の花畑を標準域で撮るとこうなる。


■菜の花を標準域で撮った作例

出典:ガンレフ

それが望遠レンズで、被写体に寄って撮ると、背景の菜の花畑の花びらが圧縮され、大きく拡大される


■菜の花の圧縮効果、蝶を近接撮影すると、背景が黄色の絨毯に!

出典:ガンレフ

一面が菜の花で覆い尽くされ、黄色の絨毯になる。

それは被写体の蝶を大きく写したため

マクロ域においては背景はより圧縮される。

望遠マクロ特有の写真表現が得られる。

橋を写せば、橋の遠景にある街工場が拡大され、迫ってくる。


■遠景の街工場が圧縮され拡大される

出典:ガンレフ

もうすぐiPhoneや最新のスマホでもこのようなド迫力の写真が撮れるようになる。

蝶を大きく写せば、蝶の背景にある小さな花弁が拡大され、赤い花の絨毯になる。


■蝶の近接撮影は背景が赤の絨毯に

出典:ガンレフ

こういった描写が今後スマホでもできるようになる

ただ、望遠の近接撮影は手ブレがよく起きるため、一般の圧縮効果と比べて撮影難易度が少し上がる。


おまけ:圧縮効果の悪用について

ちなみにテレビでよく東京の品川駅はいつも人で混雑してて歩くことができません。

東京は住みにくい。

新型コロナウイルス蔓延時の東京は危険。

と映像を流しているあれは、実は圧縮効果。


■テレビで流している駅の映像(圧縮効果)

出典:SNS・X

左の青の看板、本来は5m間隔で設置されているのに(下の窓の枚数を見るとわかる)、圧縮されてしまっている。

また、右側の柱の数が不自然に多い

わざと人が多く住みにくい街だと印象付け、地方の方に東京は危険だと印象付ける。

新型コロナウイルス蔓延時にも街は危険だと人々の不安を煽り、視聴者を不安にさせ、視聴率とお金を稼ぐ。


だけど、実際、朝の通勤ラッシュ時の品川駅の同じ場所を標準域のレンズで撮影するとこうなる。


■同じ場所、同じ時間に人間の眼と同じ標準レンズで撮影した写真

出典:同上

同じ場所、同じ時間に撮影したのに、人の数が3分の1に減っている

なぜなら圧縮していないから。

テレビ局のカメラマンは、奥の真っ黒な人だかりを、望遠レンズで撮ってる

だから圧縮される。

圧縮しない標準で撮った写真は、看板と看板の距離が遠い。

圧縮していないのは左の青の看板数と右側の柱の本数を見ると分かる。


レンズ交換式カメラにおける望遠レンズの悪用。

日本のテレビ局は、不安を煽ることでお金を稼いでいる。

写真家にとってはレンズを悪用する行為に他ならない。

ただ、この様な写真も、もうすぐスマホで撮れるようになる。

関連エントリー:

(おしまい)


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?