ゲーム理論を使って収入を増やし支出を減らすとはどういうことなのか。どう戦えば豊かになれるのか?
ミクロ経済学史上最高の理論は何か?
と聞かれたら、私は即答する。インセンティブ理論だと。
☆☆☆
インセンティブ理論はほぼすべての状況において使える。
しかし、それぞれの経済現象において人間はどう動くのか、そのインセンティブ(動機)を考察する理論は金には直結しないのだ。
似たような理論で対戦相手がいる場合、より収入に直結するのがゲーム理論である。
ゲーム理論とは、ミクロ経済学の1分野であり、対戦相手にそれぞれのゲームで勝つための理論体系のことである。
私は22歳の頃、障害者の施設を卒業し就職活動をしていた。
当時はまだ景気が良くて多くの東証一部上場企業が障害者に求人を出していた。
他の障害者はSONYやホンダ、三菱UFJ銀行、各種新聞社など誰もが知っているキラ星のような有名大企業に応募していた。
自分はなぜだか分からないけれども、パソコンの自作が好きだったため、半導体製造業や素材、精密機械の企業に惹かれていて、その業界の会社に応募し、内定した。
SONYや日立の子会社さらには新聞社には、就職希望のライバルが長蛇の列を作り面接していた。
私の応募した半導体製造業は知名度の低い会社ばかりだったから、応募する人がほぼいなかった。
Yahoo!ジャパンには東証一部上場企業の平均年収データが掲載されている。
興味深いため一覧を上げて見る。
■知名度の高い有名大企業と、半導体製造用の精密機械製造業の平均年収
SONY社員の平均年収・・・・・・・・1,057万円
ホンダ技研工業社員の平均年収・・816万円
トヨタ自動車社員の平均年収・・・・865万円
東京エレクトロン社員の平均年収・・・1,149万円
信越化学工業社員の平均年収・・・・854万円
ディスコ社員の平均年収・・・・・・・・945万円
多くの障害者がトヨタやホンダそしてSONYを応募し、ほぼすべての障害者が落とされた。
なぜなら、SONYの子会社の求人2名の枠に、障害者が200人以上応募したからだ。
200人中2名の場合内定する確率は1%。100人に99人が落とされる。
しかし逆に平均年収でSONY以外と同じか、それより多い半導体製造業への求職者はほとんどおらず、2名の応募枠に2名か3名しか受けに来なかった。
だから受けた人間はほぼすべて、すべてとは言わないが2人に1人は内定し、同じ所得、いやそれ以上に高い所得を獲得できたのである。
なぜ半導体製造用の精密機械製造業は所得が高いのか?
これは財務諸表(財務3表)を読めばすぐ分かるし、ミクロ経済学を使っても刹那的に理解できる。
トヨタやホンダ、またSONYやPanasonicは競争している企業だ。
たとえばテレビ市場ではSONY、Panasonic、サムスン、LGなどが全世界で液晶テレビを販売し過激な競争を繰り広げている。
国内の液晶テレビ市場においてもSONYのシェアは13.4%でありPanasonicが13.6%。他に東芝やシャープ、そして中国の新興企業であるハイセンスがそれぞれ16.6%、24.6%、13.7%と、血なまこのレッドオーシャン市場で競争に明け暮れている。
どの会社のテレビでも綺麗に映るし甲乙つけ難い映りのため激烈な価格競争に飲み込まれてしまい、利益がほぼ出ていない市場なのである。
利益が出せないとその利益のなかから従業員給与と賞与が支給されるのだから、平均年収が少ないのは当たり前なのだ。
逆に半導体製造業の場合、ディスコが半導体研削切断装置で世界シェア1位。世界シェアは8割。信越化学工業は塩化ビニール樹脂、半導体シリコン、先端品フォトマスクブランクスでそれぞれ世界シェア1位である。
シリコンウェーハにおいては住友系のSUMCOと2社で世界シェア65%を独占。
つまり日本の半導体製造装置・素材企業は世界独占企業であり、収益力においても技術力においても、そして利益率と社員の待遇においても、比較すべきは年中競争しているトヨタやSONYではなく、GoogleやMicrosoftのような業界独占企業と比べるべきものなのだ。
SONYやトヨタ自動車なんぞと比較するのは世界独占企業の彼らにとても失礼な行為だ。
世界トップシェアで7割独占8割独占とは、そういう企業たちであり強い。強すぎる企業群なのである。
パソコンや携帯電話や自動車に入ってる半導体をそれぞれのサイズに切断している精密機械を造れる業界独占企業と、その半導体の素材を作っている業界独占企業と言えば分かるだろうか。
そういう、1本の髪の毛を縦に35本に切断できる超高精度の精密機械を造っている会社が日本にはあるのである。
私はそんなの知らずに入社試験受けたら運良く合格し高収入の道を切り開いてしまったわけだ。20年も前の話だが。
いまも彼らの企業群は高い技術力により他社を圧倒して、寄せ付けず、業界独占を続けている。
しかしこれはただのミクロ経済学であり需要と供給の法則である。皆が選択しない道を選んだに過ぎない。だからゲーム理論とは言わない。
自己啓発書でよく書かれている人と違った道を行けという抽象論を、需要と供給の法則によって一番高所得で低倍率で応募者の少ない、高待遇の企業に応募したにすぎない。
ゲーム理論はもっとゲームをするのだ。ゲームで相手に勝つ。戦略的に勝つために戦略的思考法を採るのである。
よってミクロ経済学よりもより高度で実践的であり、実学(金の増やし方を学ぶ学問)なのだ。
では、これより実践的な教材を使って、ゲーム理論で競争相手に勝つ戦略を執筆する。
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