この医学書・看護書がすごい!2022【中外医学社】
本日は中外医学社です。
医書を担当している方はご存じだと思いますが、びっくりするくらい複数冊の新刊を毎月刊行しています。これだけで本当にすごい!
なので毎年、選書に悩みに悩む出版社のひとつが中外医学社なのです。
さて、中外医学社営業担当イチオシはこちら!
『生きづらさを診る産婦人科学 医師と助産師で考えてきたこと』
まずは営業担当の推しポイントをどうぞ!
この推しポイント、深いですよね。全くもってその通りなんですが、悪気なんて微塵もなく、むしろよかれと思っての言葉です。でも、言われた方の反応は芳しくない。いきなり2人分なんて食べられるわけがないし、その言葉通り2人分食べていたら、体重が増えすぎて色々なリスクが生じます。
この本の序文において、
という文章があります。
妊娠という身体の変化にずっといつもと変わらず穏やかでいられる女性はいないでしょう。自分の身体の中にもうひとつの命がある。それに伴う、様々な身体の異変、感情の浮き沈み。言いようのない不安を抱えている中、世間に流布する雑多な情報が女性の精神を削ることは少なくはありません。
本文でも触れている妊娠女性に推奨される行動基準の遵守もですが、無事に我が子が生まれたあとも、生きづらさは続きます。やむをえず帝王切開になった母親、母乳が思うように出ずにミルクで育てている母親に対する謂れのない批判は時折SNSで話題になるのをみる限り、いまだに消えていない印象を受けます。
世間の認識を改めればいいのかもしれませんが、一朝一夕に変わるものではないでしょう。それでも最近は臨月の胎児と同じ重さのものを男性にくくりつけて、一日過ごさせる体験などで少しずつ妊娠女性の辛さを当事者以外に認知させる試みは進んでいるようです(妊娠状態の不自由さは胎児の重さだけではないという話はさておき)。
この本では『女性ならではの生きづらさ』『いろいろな生き方をしている女性たち』『キーワードを考えてみよう』の三章で構成されています。そして『考えてみよう』という投げかけのあとに、著者おふたりの考え方が示されています。
それに対して、読み手がどう考えるのか。読み手の立場によって、また様々な考えがあるでしょう。なるべく批判的に読んで、医療者の「常識」に問いかけて欲しいと序文は締められています。
この本を読んだことで、見えていなかったことが見えるかもしれません。産婦人科医はもちろん、看護師を始めとした医療に関わる人に読んで欲しい一冊です。
そして売り場担当のイチオシはこちら!
『医学用語の考え方,使い方』
こちらの本、当店での企画『國松先生がジュンク堂にやってきた!ヤァヤァヤァ』でも紹介され、実際に國松先生が購入されていた本です。
中外医学社の『使い方,考え方』シリーズ、今まで多数の本が刊行されているんですが、医学用語で出るとは思ってもいませんでした。さすがの切り口ですね。
「喘鳴や頭蓋の読み方は?」「頸部と頚部はどちらが正しいのか?」特に、後者は悩みどころではないでしょうか。この本では基本的なところから医学用語に関する疑問を解説し、具体的な実践例も紹介していきます。
ひとというのは思い込みというのがあります。知らずのうちに、なんの疑問もなく使っていた言葉が、実は間違っていたなんてことは誰しもあるのではないでしょうか。そしてそれを他人から指摘されたらもう、恥ずかしいなんてもんじゃありません。逃げて帰って一晩寝込むレベルです(ただのふて寝とも言います)。
どうしてそんなことが起こり得るのか。それはPCやスマホの普及による弊害が一因としてあるのでしょう。打ち込んだ文章を変換してくれるので、わざわざこれは正しいのかと辞書を引いたりしませんよね。でも意外と誤変換をしてくれるのです。そしてその誤変換が世間で誤用されていたりするので、また間違いに気づかないこともあります。
私も今回のこの企画でnoteに文章を打っている時に『満を持して』というのが正しいのに『満を辞して』と変換されてしまいました。いや辞めてどうすんねん!って突っ込んでしまいましたが、言葉の意味をふんわりと理解、もしくはよくあるフレーズだからと思って使うと、誤変換した言葉をそのまま使ってしまう可能性もなきにしもあらずです。恐ろしい。
文章というものは記録として後々、残ってしまいます。そして正確に情報を伝えるには、正しい文章や用語が必要です。
ぜひ、この本で基本から医学用語の考え方、使い方をしっかりと学んでください。
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