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2023.9.21 NHKに対して、「公開質問状」を発送しました。

インボイス制度や消費税について報道がなされていますが、多くの報道は、消費者が支払うのは「代金+消費税」という説明が為されています。しかし、これは、法律、裁判例及び財務省の説明と異なる解説であり、消費者は「消費税は本体価格とは別物」「消費税は預かり金」と誤解してしまいます。
そこで、我々は、各報道機関に対して、このような報道内容について、間違った解説ではないかと公開質問状を発して、問うべきではないかと考えました。
その第一弾としてNHKに送付することにしました。


NHKは、公共放送として、最も信頼されている報道機関の一つだと考えています。しかし、そのNHKですら、下記サイトにおいて、誤解に基づいた記載をしていました。

「インボイス制度10月スタート どんな制度?課題と対応策(2023年09月05日 (火))」

これに対して、下記の通り、2023.9.21に「公開質問状」を送付しました。

公開質問状

2023(令和5)年9月21日
日本放送協会 
会長 稲葉延雄 殿
解説委員 岸正浩 殿


インボイス制度の中止を求める税理士の会
インボイス制度に反対する司法書士の有志の会

御社インボイス制度10月スタート どんな制度?課題と対応策は NHK解説委員室(以下「上記サイト」とする)において、正確性を欠く解説がされている。
 消費税とは、基準期間の課税売上が1千万円を超えた場合に、課税売上のうち110分の10を売上に係る消費税として計算した金額を基礎に、事業者が納める消費税を計算するものであり、基準期間の課税売上が1千万円を超えない場合には消費税は認識せず、取引金額の全てを所得税あるいは法人税の所得金額計算の基礎とするものである。
上記サイト内の書きぶりは、消費税は本体価格とは別物だという前提に立っており、この理解の場合、全ての事業者が消費税率分の値上げができることになる。しかし、値上げをできるのは一部の事業者に限られていることから、商取引における価格決定の仕組みを無視した内容であり誤った解説であると評価せざるを得ない。

そこで、下記につき御社に質問をする。


上記サイトの中で、「私たちが払った消費税は店などが代わりに納めています」と解説されているが、これは消費者に納税義務があり、事業者が消費税を消費者から預かって消費者の代わりに納税しているという解説であるのか。そうであれば下記の法律、裁判例及び財務省の説明と異なる解説をしていることになるため、意見を求める。

① 消費税法には「消費者」という言葉は出てこない。したがって消費税法においては事業者に消費税の徴収義務はなく、消費者に納税義務もないことは明らかである。また、消費税額は、消費税法第28条第1項及び第29条並びに地方税法第72条の82及び同条の83の定めに基づき、譲渡対価に110分の10を乗じて得た額として算出される。消費税相当額を価格転嫁しているか否かは無関係であるため、適正価格に消費税相当額10%を上乗せするという仕組みではない。したがって、事業者が消費者から受け取るのは、譲渡対価たる売買代金のみであり、消費税を預かっていないことは消費税法上明らかである。

② 東京地裁(平成2年3月26日判決)は消費税について「…消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を消費者との関係で負うものではない」と示した。消費税は商品などの対価の一部であると認めた。

③ 2023年2月10日衆議院内閣委員会で、金子俊平財務大臣政務官は、「預り金的な性格であって預り税ではない」とした答弁した。

④ 上記サイトでは、①消費税法の規定、②東京地裁の裁判例、③国会答弁と異った解説あるいは誤った解説を御社は行ったのではないか。
以上

上記質問に対する回答を2023年9月29日15時までに
info@tnk-tax.or.jpに回答されたい。


送付後、9/25に記者会見を行い、また9/29に一応の回答が届きました。
これについては別に記載いたします。


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