20年来の呪いが解けた話

皆さんは就職活動をしたことがありますか?

社会人なりたての方は記憶に新しい出来事でしょうし、転職に勤しんだ方もいるでしょう。学生ならそろそろ考えなきゃいけないな、なんて思っているかも知れません。

そんな就職活動ですが、学生だった頃の私には自分が何をして金を稼げばいいのかさっぱりわかりませんでした。必然的に就職活動の本で勉強をする羽目になります。

色んな本を読みあさり、一つの共通点を見つけました。それは「好きなことを職業にしてはいけない」というものでした。

「好きなことは得意なことではない。好きなことを職業にしてしまうと、好きであるが故に理想と現実との間でミスマッチが起きてしまう」……ざっくりいうとこういう具合です。

これにとても納得がいったんですよね、私。当時から文章を書くことは好きでした。20年くらい前はテキストサイトという読み物系Webページが最盛期でした。いろんなアマチュアライターがこぞって自前のページで毎日ネタを更新して披露し続けていました。彼らに憧れて自分のHP立ち上げて、ブログが誕生したあとはそっちに移り、ちまちまちまちまネタ日記を書いたり、ゲームレビューを書いていました。結果としては散々なもので、確か総アクセス数は大学4年間で1000行ってないはずです(ちなみにそのページは現存していないので探しても無駄です。が、私のHDDを漁っていたら見つかりました)。

「私には文章を書く才能はないな!」と潔く見切りをつけ、あくまで趣味として書くことを継続しました。ライターとは全く無縁の職につくことになり、ブログはあくまで趣味として続けました。が、ブログ運営の閉鎖と統合というよくある話で記事は消えていき、引っ越しを何回も余儀なくされました。近年で活動をはてな匿名ダイアリーに移しましたが、大して話題にならずにほとんどの記事は消えて行ってます。

で、肝心の会社勤めですけれど、当時は就職氷河期といわれて求人率が極低の中、なんとかとある会社に就職できまして。そして初めての給料を貰ったとき、私の中に一つの答えが舞い降りました。

「仕事とは苦役であり、その対価が給料である」

というものがすっと私の中に下りてきて、それに対して私は納得がいったんですよね。なるほど、これが仕事か、と。自分が好きでもなんでもない行為を積み重ねる行為の代償としてお金が頂けるわけなんだな、と。それに納得して10年以上、好きでもないことを続けて参りました。

ところが長期働くと、出世というものが起こります。当然私も立場が変わっていったんですが、それがもう、本当に、ミスマッチでしたね。今さら思うと。

元々好きでもないことを続けていたんですが、その仕事量が増える、増える。もちろん給料も増えるわけですが、次第に「この量の行為の代償として、本当にこの金額は釣り合っているのか?」と考えるようになりまして。

そんな状況の変化が表面化し始めた頃、はてな匿名ダイアリーで「初心会興亡記」が初めて大当たりしました。本当、ビックリしました。続きも読みたい、という声が多くあったので、資料代を頂けるようなプラットフォームに活動の場を移そうと思い、noteへと移り住みました。

noteに移住してから結構な支援金を頂けました。半年くらいで資料代は元を取れて黒字化できました。その後、色んな記事を書いていく上で資料代には困らないくらいの黒字になったんですよね。ちなみにその総金額の半分くらいはたった一人の方のサポートです。本当にもう、頭が上がりません。ありがとうございます。

このあたりで次第に私の中で何かが溶けていったんですよね。「好きなことでお金を貰えるのが、結局一番なんじゃないのか?」って。

で、ゲームラボさんからお仕事頂けたり、別方面で色々とやったらお金になったりしていって。次第にライターとしてお金を稼げていく一方で、本職のほうはどんどんとキツくなっていく。心身がヤバいことになっていって、結果破綻するわけですが、そこでギリギリのところで心を守ってくれたのは「記事を書いてお金を得ることは出来るんだぞ」という事実でした。ここで折れて、倒れて、仕事を辞めても、お金を稼ぐことはできるんだ、って安心がありました。だからもう止めにしよう、という判断ができました。その判断は間違っていなかったと自信を持って言えます。

仕事をしなくなって二ヶ月以上経つんですが、ビックリするほどかつての仕事を思い出すことがありません。流れ去るように記憶が消えて行っています。いずれは会社で働いていたこと自体を忘れるような気がします。

私とあの仕事との相性は最悪で、それでもつなぎ合わせていたのはかつての「仕事とは苦役であり、その対価が給料である」という答えでした。「好きなことを職業にしてはいけない」という就活のアドバイスでした。それが呪いだったことに今気がつきました。そしてそれが完全に断ち切れたということも。

いいじゃないですか。好きなことを職業にしたって。好きなことでお金を得ることが出来るのって、最高ですよ。

……と、まぁ格好良い言葉で締めようとしてますが、実際にはライターの仕事ががっぽがっぽ来ているわけではありませんし、そもそも今休養期間ですから。まだ本当にこれで食いつないでいけるかは未知数もいいところです。とりあえず初心カイとしては、趣味と実益のハイブリッドな活動ができればいいなと思っています。

時間はできました。当面の目標としては「かつての初心会加盟問屋に突撃取材を申し込む」で行こうと思います。よろしくお願いします。

なお、大学時代に書いたゲームレビューを読み直したのですが、あまりのつまらなさに七転八倒しました。これは自らに対する戒めにします。私が調子に乗ってきたら、是非「そんなこといってもお前のFF10レビュー、酷かったぞ」と言ってやって下さい。きっとアンデッドにケアルガぶつけた並みに効くはずですから。


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