見出し画像

甘えは適切な人間関係をつくる

甘えていることと支え合っていること


甘えという言葉の意味

『甘えの構造』は、土居建郎さんによる心理学の著書で、日本の現代社会における「甘え」に焦点を当てています。
土居建郎さんは、人間が社会的な存在であり、他者との関係性において「甘え」が重要な役割を果たすと論じています。
彼は、「甘え」は生物学的な本能だけでなく、社会的文化的要因にも影響されると指摘しています。また、個人の成長や人間関係の発達において、適切な「甘え」の表現が重要であると述べています。
この本は、人間の心理や社会性について深く考察し、個人と社会の関係性を探求する貴重な一冊です。

『甘えの構造』では、個人の成長や人間関係の発達における「甘え」の表現の重要性について、適切な「甘え」の表現が個人の自己肯定感や安定した人間関係の構築に貢献すると述べられています。
つまり、他者との関係性において適切な「甘え」を表現することで、個人の心理的安定や社会的結びつきが促進されると考えられています。


個人の成長に「甘え」というものは必要ないと考える人が多い。
実際に世間的に「甘えている」人は、恥ずかしいと捉えられ得る。
「甘え」=「親のすねかじり」
という図式が日本では一般的となっていて、「甘えている」人を許さない傾向にある。
生活保護などを受けている人にも、「甘えるな」と言ってしまう始末だ。
「誰かに頼る」=「甘え」
と捉える人が多いため、「人に頼ってはいけない」というプレッシャーの中で、私たちは生活している。
そのために、窮地に追い詰められたときでも、「人に頼ってはいけない」というバイアスがかかり、一人で立ち向かっていった結果、病気になり苦しむことも現代では日常茶飯事だ。

こう考えると、本当に「甘え」というものは悪なのかということを考えることが多くなる。
実際に、「甘え」という意味に当たる、ちょうどいい英単語は存在しない。
これは、日本の文化が創り出した、造語のようなものになるのだ。

他者との関係性における適切な「甘え」とは、相手に対して自分の感情や欲求を率直に表現し、その表現に対して相手から理解や支援を得ることです。これによって、相手との信頼関係が築かれ、お互いが安心感や愛情を感じることができます。適切な「甘え」は、自己主張と他者への依存のバランスを保ちながら、健康的な人間関係を築くための重要な要素となります。

「適切な甘え」
という書き方をすると難しく捉えすぎてしまうが、他者を含めた社会の中で、自分が「ちょうどいいと感じる甘え」というものを考える必要があるのだ。
そのためには、「自分と他者を測る客観的な視点」というものが必要となる。「客観的な視点」が増えれてこれば、自分にとって「適切な甘え」というものがわかってくるのだ。

自分を戒めながら、「他者へバランスよく依存する」のは非常に難しい。
だからこそ、自分ではなく、他者に目を向けることが重要なのだと考えた。
他者との信頼関係を一番に考えることで、一気に単純化できる。
他者との関係を壊さず、バランスよくこちらの要望を言う。これこそが、本来の「甘え」であり、「甘え」というのは人間関係を築く重要な要素となり得るのだと感じている。

甘えというと聞こえは悪いが、「適切な甘え」というものを習得することによって健全な人間関係が築かれ、信頼関係が生まれるのだとされているのだ。

主張と他社依存のバランスというのは、しかし言うほど簡単ではない。
とても読み応えがあるため、再読を重ねたい一冊となった。


とっても嬉しいです!! いただいたサポートはクリエイターとしての活動に使わせていただきます! ありがとうございます!