尾道へ行った⑤

もともとあてのない出発だったので、特に泊まるところは決めていなかった。
広島市内へ行って、適当にカプセルホテルにでもとまろうかと考えていた。

尾道の街は山と尾道水道に挟まれて東西に細長く伸びている。
その賑わいの中心となっているのが商店街だ。
飲食店やおみやげ屋が並ぶのはどこの観光地でも同じだが、尾道商店街には地元の人々が日常で立ち寄るであろう雑貨屋や工具店などもある。
その町の暮らしがうかがえて楽しい。

商店街を西へ進むとかわいらしい装飾が目に入った。
カフェかなと思いよく見てみると、ゲストハウスとのこと。

あなごのねどこ入り口

友人のゲストハウスオーナーに聞くと、尾道で有名なところだという。
ゲストハウス予約サイトで検索すると、今晩1ベッドだけ空きがある。
数分周りをうろうろし、泊まることを決めた。

その後、山の上などを観光して時間を潰し、夕方にチェックイン。


なつかしい雰囲気


縁側のある家に住みたい

古民家をリノベーションしたそうで、内装はいわゆる「祖父母の家」テイスト。
一生くつろげる空間だった。
実際、宿泊客のたまり場となっていた。
我々の多くは畳の広い空間を見ると、腰を下ろして団らんするよう条件づけられているのかもしれない。


部屋はよくある構造だがおもちゃばこのような雰囲気

きさくな宿のオーナーに、このあと尾道商店街の夏祭りがあると教えてもらった。
韓国からきた旅行客がその場に居合わせており、オーナーのはからいでぼくと韓国人男性二人で祭りへ繰り出すこととなった。

ぼくは韓国語も英語もろくに話せないのでどうしようと思い口をつぐんでいると、向こうから日本語で話しかけてくれた。
彼は日本の祭りが好きだそうで、東京の三社祭を見に行ったこともあるという。


子どもたちも重荷を背負っている
手作り感あふれる尾道のジオラマ

祭りも果て、宿に戻る。
もう少し尾道の夜の雰囲気を感じたかったので、今度は一人で街へ出る。

地元グルメを楽しもうと、「べっちゃーの胃ぶくろ」という居酒屋へ入店。

味のしみまくった鯛
寝転がって足を組む手羽

あまり一人で居酒屋に入ることはないが、周りのシマの雑談をラジオ感覚で聞きながら飲むのもなかなかいいと思った。
地元の人たちの、ごく狭い人間関係についてあれこれ想像するのも楽しい(根暗な趣味)。

あなごのねどこのベッドは以上に柔らかく、坂のまちで酷使した脚の疲れも癒やされた。
翌日、併設のカフェでおにぎりをいただき、広島方面へ向け出発した。

コンビニ以外のおにぎりを久々に食べた


今回の探訪で尾道の魅力をしっかりと発見できた。
この3年後、友人との旅行でリピートし、同じルートをなぞった。
この時はなかった山上の展望台が完成しており、海・山・街のぎゅっと凝縮された箱庭的空間をより楽しめるようになっていた。

おしまい

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