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紐緖部長とぼくの話 2

割引あり

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      2

 紐緒部長のことが好きだ。
 そんな気持ちにはっきりと自覚的になったのは入部から数ヵ月経過した8月、夏休みの合宿のときであった。
 合宿とはいっても電脳部は運動部のように朝から晩まで走ったり練習したりするわけではない。部長の論文(学生コンテストなどではなく、一般向けの専門家が集まる学会に出すシロモノだ。その分厳しい目に晒されることは言うまでもない)の執筆作業をカンヅメで進めるのが目的だ。
 ぼくはそのためのデータ整理や、グラフや表など作図作業のお手伝いをする。そんな合宿だ。
 合宿地は群馬にある寂れた温泉旅館。
 合宿地選びや宿の予約のような雑務は一年生のぼくの仕事だ。
 実験ならともかくとして、執筆作業ならパソコンとネット環境さえあれば基本的にはどこでもできる。格安かつ部長が集中できるよう静かな環境を選んだつもりだったが、幸いご満足いただけたようだ。普段は誰に対してもキツい態度を崩さない部長が珍しく笑顔をみせつつ「やるじゃない」と褒めてくれたのが何より嬉しかった。
 執筆作業は滞りなく進んだ。
 5泊6日の合宿もあと一日を残し、金曜には八割がた完成した。あとはチェックや推敲作業等を残すのみ。
 そんなときに事件は起きた。
 そう、あれは事件だ。魔が差したとしか言いようがない。
 夕方、散歩に出たときにたまたま女湯の前を通りかかった。
(そういえば今、部長が……)
 息を呑んだ。
 つい想像してはいけないものを想像してしまっていた。
 普段は制服の上に白衣を羽織った格好が多く、体のラインを見せることがあまりない部長だが、実は隠れ巨乳だ。
 そのスタイルのよさは、美人揃いで有名な三年女子の中でも上位一割くらいには入るんじゃないかと思う(ぼくの個人的感想だ)。
 体育祭のとき、はじめて部長の体操着姿を見たが、その膨らみ、揺れはずみ振りは見ていて思わず前屈みになってしまった程だ。
 それを生身で拝んでみたいと思うのは、健全な高校生ならごく自然な欲望だろう。もっとも、本当にのぞいてしまう者は限られるだろうが……。
 どこかでボタンをかけ違えてしまったのか、このときのぼくは理性よりも欲望が勝ってしまった。気づいたときには双眼鏡を片手に、女風呂の前庭に向かって匍匐前進していた。
 夏場だけあって大量のヤブ蚊が手足にたかっていた。
 だが止められない、止まらない。
 客自体ほとんど居なかったためか、浴場に他の客は一人もいなかった。かゆみに耐え、息を殺して部長が来るのを待つ。
 そして━━。
 脱衣所の扉が開いた。
 憧れの部長がオールヌードで風呂場に入ってきたときの感激といったら、なんとも例えようもないものがあった。
 悩ましいうなじも、たわわに実った左右の乳房も、桜色の乳首も、股間の茂みも、悩ましい太股も、すべてが露となっていた。
 思わず叫び声をあげたくなった程だ。
(す、凄……! ひょっとして、普段はきつめのブラで押さえてるのかな……?)
 予想を超えた大きさだった。
 桜色の先端からは水滴がポタポタと溢れ落ちる。
(うっ……や、ヤバい……!)
 気づけば股間のイチモツが、はち切れんばかりに大きくなっていた。さらにぼくは、後々からすればこの時はおかしくなっていたとしか言いようがない事に、それをその場で取り出して無我夢中でしごいてしまっていた。
 思わずそんな馬鹿な事をしてしまったのだが、少しだけ言い訳させてもらうと理由は単に興奮したから、というだけではない。もう一つあった。
 部長の様子が何だか変だった。
 身体を一通り洗い終えても、部長はまだ自身の身体を触っていた。遠目には張りのあるバストを揉んだり先端をこね回しているように見える。
(バ、バストマッサージか何かかな……?)
 だが、部長の手は次第に股間へと伸びてゆき、湯がしたたる白い裸身をくねらせ始めた。
(ま、まさか……! 部長が!?)
 15の童貞の身空で、女にも性欲があることを生まれてはじめて知ったのがこの瞬間だ 。
 少し移動し、角度を変えるとこれまで見えなかった表情を窺うことができた。
 眉根を寄せ、瞼を半分落としている。そんな表情がいやらしすぎた。薔薇の花弁のように真っ赤な唇が半開きになってわなないている。
 ぼくの心臓はこのとき、たぶん生涯最大の勢いで鼓動を刻んでいた。バクン、バクンと音が外まで聞こえ、胸が破裂しそうな勢いだ。
 周囲に誰もいないこともあってなのか、部長の動きは更に大胆になってゆく。ぼっかりと広げた股間を右手でまさぐりながら、左手で乳房をすくい上げる。はっきりと分かる、これは快感を得るための動きだ。たわわな美巨乳を揉みしだいては、桜色の乳首を指でいじる。乳首はみるみるうちに尖り、もっといじってと言わんばかりの物欲しげな色と形になってゆく。
 ごくり、と生唾を呑み込んだ。
 イチモツをしごく右手が止められない。
 やがて部長がぶるっ……と身を震わせた。
 多分であるが、絶頂に達したらしい。
 「多分」とか「らしい」などと表現したのは、そのときのぼくは芋虫のように身を屈め、大量の白濁を草むらに向けて噴射していたためである。
 視界も意識もホワイトアウトしていた。
 やがて視界がクリアになってくる。改めて目線を上げたとき、もうそこには人影さえも無かった。
 白昼夢でも見ていたのかと思うほどだ。

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