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ペン字の要点③【右上り6度を体で覚える】

ペン字の要点ということで、デジタル化が進めば進むほどかえって希少になっていくアナログな手書き。

デジタルな現代の文字はもはや(スマホなどで)触れるという時代にまで来ているのでしょうが、文字を書くという行為は失ってはいけないものだと思います。

そんな手書き文字の一番身近なものはペン字(ボールペンや万年筆など)ですが、そのペン字を美しく書く7つの方法・考え方を述べていきたいと思います。

第3回は【右上がり6度を身体で覚える】
ペン字でも基本となるヨコ画は右上がり6度について解説していきます。

ヨコ画の角度は右上がり6度が美しい

「ヨコ画は右上がり6度が美しく見える」

というのをご存知の方も多いかもしれません。

文字というのはタテ・ヨコ・ナナメのどれかで構成されるものですが、特にヨコ画から書き始める文字も多いです。

また漢字ではメインの画になる事も多いのがヨコ画です。

そんな重要なヨコ画を6度の角度に気を付けて書くようにすると、美しく見えます。

今回はそういった事の解説、そしてどうすれば身に付けられるか?について書いていきます。

右上がり6度=時計の14分の角度

言葉で右上がり6度といっても、微妙な角度過ぎてピンと来ないかもしれません。(私もそうでした…)

書道をやっていてヨコ画を若干右上に書いていくと綺麗に見えるという事は知ってはいても、6度と言われてもどのぐらい?というのはあまりイメージできないかもしれません。

それで身近にあるものとして、アナログ時計の14分の角度が6度の角度になります。

時計の14分
15分から1分戻した14分が6度の角度になります。

45度の角度を15等分すると6度になるので、45÷15=6で1分間が6度という事になります。

こうしてみると、ただ単に6度の角度と言われるよりも具体的にイメージが湧くのではないでしょうか?

楷法の極則と呼ばれる、楷書のお手本たる文字もそうなっている

ところで、右上がり6度・時計14分の角度がなぜ美しくみえるのか?という科学的な事までは私は分かりませんが、

書道の世界ではこれは絶対に習うべき!という「楷書のお手本」というものがあります。

その名も「九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんのめい)」という、中国は唐の時代、西暦600年代なので今から約1,400年前に書かれた文字があります。

九成宮醴泉銘

日本で習う漢字というものは、今では楷書がほとんどメインになっていますが、その楷書(楷法)の極則(究極の法則)として習うべきものとされているものです。

もちろん全てのヨコ画がそうなっているわけではありませんが、究極のルールともいえる楷書のお手本もだいたい右上がり6度になっているのです。

中国4.000年の歴史の中で、今からおよそ1,400年前に楷書という書体の体系が整理された極め付けになります。

あらゆる書き手の中で一番美しいとされた文字のヨコ画の角度が、この「6度」に収斂されて残り今我々に伝わっているのはなんだか凄い事だと思います。

このように楷書の究極の文字も、右上がり6度という原則になっているのです。

人間の身体の構造上、勝手に右上がりになってしまう

しかし、そもそも知っておいてほしいのは、

人間の身体の構造上、勝手に右上がりになってしまう、

ということです。

これは右利きが大多数を占めるので、右手で書く時の構造的な宿命だったりするのですが、

普通に右手を振ると、その軌跡は自然と右上がりの軌跡を描きます。

よく「書く字が右上がりがキツくなってしまう」というのを聞きますが、元々右手で書くと右上がりになってしまうものなのです。

これはヨコに書いて行くときに、知らず知らずのうちに行が右上がりになってしまうのも同じ原因です。

絶妙な角度としての6度・14分というのは、制御された上がり具合とも言えます。

人それぞれにはなりますが、右上がり具合をあえて抑え気味にすると、程よい具合になる事も多いです。

そもそも右上がりになりがちなので、その絶妙な上がり具合を書きながら知る、という事が重要になります。

右上がり6度を書いて覚える事ができる教材

そこで、実際に書いて覚える事のできる教材、というものを作ってみました。

「理屈では右上がり6度は分かったけれど、実際に書いてやってみるとどのぐらいの角度か分からない」

という事になると思います。

やはり書いてみてその絶妙な角度を身体で覚えるというのが一番だと思います。

無料でご提供いたしますので、ぜひダウンロードいただきプリントアウトしてご利用ください。

実際に書いてみると「これだけの角度なの?」と感じるかもしれませんが、そういった感覚的に理解することがすごく大事です。

書いてみて身体で覚えることが、美しい文字へと近づきます。

まとめ

というわけで【右上がり6度を身体で覚えよう】について解説してみました。

長い歴史の中から洗練させてきたこの6度という美しい角度。たくさん引いて練習することも美しいペン字への一歩になります。

あなただけが書ける美しいペン字の一助になればと思います。

【動画も制作してみました】

テキストの説明を補う意味でも、動画でも解説してみました。

実際に書いている所、またヨコ画右上がりな楷書を書く上でのポイントにも触れていますので、ぜひご覧下さい。


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