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読書感想文「俺ではない炎上」

「六人の嘘つきな大学生」でお馴染み、伏線の狙撃手の異名を持つ浅倉秋成さんの作品です。去年発売で、ずっと読みたいなと思ってたけどなんとなく手が伸びなかったのだけど、近所の図書館で発見したので即ゲットしました。
ある日Twitterに死体の画像と共に人を殺したという投稿がされる。それは瞬く間に拡散され、特定され、ハウスメーカーのエリートサラリーマン山懸泰介が犯人として挙げられる。何も知らない泰介はそんな状況に憤りを感じるが、やがて事態は深刻化していき、誰も信じられなくなった泰介の逃亡劇が始まる。
面白かったです。
逃亡劇として見ると、ゴールデンスランバーみたいな派手さやスリリングはないけど、寝たい、腹へったみたいなのがリアルでした。
浅倉作品は読むの三作目なんですけど、どれもわりかし現代に生きる人たちに刺さる教訓めいたものもあって、読後考えささせられるものがありました。言い訳しながら生きてんなぁ。読み終えてからこのタイトルを見るとまた違った印象があると思います。

ここからネタバレありです。








主人公である泰介は逃げ回ってるだけで、話の核心に全然迫らないというのが逆に斬新かなと思いました。犯人を突き止めるのが彼の役だと思い込んでいたからこそ、進展していないように見える事件ヤキモキして、後半の章終わりごとに「えっえっ? なになに?」ってなりました。
「夏実パートだけ十年前でした」は一瞬キョトンとしましたよね。なんじゃそりゃと。すぐ読み返して、「あー確かに、言われてみれば……」となりましたが。少女時代にスターポートで会った学生は誰だったんでしょうね? 六浦? 青江も学園大でしたっけ?
あと、さくらんぼの由来はちょっと無理があるんじゃないかなぁって思いました。

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