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読書感想文「嫌いなら呼ぶなよ」

 圧倒的共感の嵐でした。多分嫌われ者をテーマにした短編集。周囲から浮いてるかもとか嫌われてるかもと思ってる人は全員読んだ方がいいんじゃないかと思います。

1眼帯のミニーマウス
ロリータファッションに身と包んだ少女時代を経て、社会に出てから整形を始めた主人公が、周りの社員たちに陰口を叩かれる。
特に印象に残ったのがこの主人公が高校時代にロリータファッションで原宿を歩いていた時の話。
同じような格好で歩いていた子に
「私たちこんな格好が許されるのも二十歳までだよね」
と言われて、この子は変なことを言うなと思った主人公。元から私たちの格好が許された時期などない。私たちが何歳だろうと周りから見れば異質な存在なのに、なぜ今更世間の物差しを持ち出して勝手にロリータを上がろうとするのか?
ここに大共感でした。

2神田タ
居酒屋でバイトをしている女の子がバイト仲間に勧められたYouTuberにハマって、コメントをしてる間に厄介なアンチに成長する話。
たとえ蜘蛛の糸が切れて地獄に落ちることになったとしてもあなたに振り返って欲しかった。っていうのがアンチの心理なのかしらね。

3嫌いなら呼ぶなよ
妻の友人夫婦たちとのホームパーティに呼ばれて、ノコノコ行ったら、しっかり証拠を固めて不倫の断罪をされる男の話。
気持ちが良いくらいに気持ち悪いやつでした。めっちゃ面白いけど、実際にこの男を話したらイライラするんだろうなって思いました。

4老は害で若も輩
一昔前のこう言う短編集でありがちな作家本人を匂わせるキャラが出てきての自虐ネタ。
あーこういうのいまだに書くんですね。とか、この話いる?って思わせるために、逆にこれを載せてたなら流石すぎます綿矢さん。


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