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読書感想文「ジョニ黒」

 1970年代の横浜を舞台に小学生アキラのひと夏を描いた青春小説。文体が独特だったけど慣れるとすんなり読めました。国語の教科書に載ってた小説の雰囲気があって、学生の読書感想文に良さそうだなと思いました。

 
 実の父親が行方不明で、母親のマチ子、ヒモの日出男と三人で暮らす小学四年生のアキラ。同じく父親がおらず、母親も離れて暮らす町会長の孫モリシゲ。二人は平凡な夏休みを送るはずだったが、日出男に連れられ、小さな冒険が起こったり、出会いと別れがあったり、9歳から10歳へほんの少し成長していく。


 タクシー運転手の話を聞いて、遊びに行くのをやめて急遽アキラを家に送ったときの日出男の心境が一切描写されてないのが逆にグッときました。『小説とは何を書くかじゃなくて、何を書かないかだ』という金言を思い出しました。
 出だしのランドセル運びとか、夏休みの自由研究とかプールとか、子供の頃を思い出してノスタルジックな気持ちにはなったりもしました。でも手放しで面白いかと言われるとそこまでではなかったのは、きっと大人になりすぎてしまったからなのかもしれないです。高校生くらいで読んでたらもっと刺さるものがあったのかもしれないです。

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