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アドベントエッセイ(162/365) 後退するニコ助

早いものでクリスマスまであと203日を切った。



どこよりも早いアドベント企画、162日目は「後ずさりするニコ助」の話。


ヒョウモントカゲモドキのニコ助は、散歩に出すとたいていマットレスの下に敷いてある簀子(すのこ)の中に入る。


たまに、移動するために簀子の淵に登ってくることがあって、その時はニコ助の爪と木がカリカリと擦れる音がする。


昨日、マットレスに座って壁に背を預けながら仕事をしていると、カリカリと音が聞こえた。


目線を下に落とすと、マットレスと壁の間が少し空いていて、歩いているニコ助と目が合った。


ニコ助はじっとこちらを見つめてしばらく固まったあと


私の目を見ながら、そのまま後ずさりを始めたのだ。



ビックリした。



ニコ助は、私を警戒しない。近寄っても、逃げたりしない。


しかし、ニコ助は自力で家に帰ることができないから、お散歩に出ている彼を回収するのはいつも私だ。


ニコ助が、私と目が合ってから、進もうとしていた方向を変えて後退したということは、彼の中で私が「うちに連れ戻す生き物」としっかり認識されている証拠ではないか。


つまり、ニコ助にとって私は、「何がしかの関係性がある存在」として認識されている可能性が高いのだ。



爬虫類は、哺乳類と違って感情表現とかないし、懐いたりすることも無いから、私個人を認知してもらえるなんて、最初から期待していない。


「危害は加えない」「ご飯くれる」


くらいの認知があれば十分だ思ってきた。


だから、こちらの勘違いかもしれないけれど、ニコ助との間にわずかでも「なにかしら関係性が生まれている」と感じた時、なんだか嬉しくなるのだ。

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