アドベントエッセイ(28/365)俺は汚ぇけど入ったら旨い居酒屋じゃなくて、本気出せば懐石も出せるタピオカ屋になりてぇんだ
早いものでクリスマスまであと337日を切った。
どこよりも早いアドベント企画、28日目は「表面的な魅力」についての話。
今年のクリスマスに、サンタにお願いしたいものがある。「愛嬌」だ。
今日、ラーメン屋にて、良く通る素敵な声で、笑顔と元気いっぱいに対応してくれる店員さんに会った。
いつもは店員さんに注意が向くことはそんなにないけれど、その人は注文や会計の合間にも目を惹いた。そして、「愛嬌ある人って本当に素晴らしいな」と心から思った。
私はこれまで、「見た目や愛想が悪い分、中身は面白い人間になろう」という方向性の努力をしてきた。刺さる人には刺さるニッチな魅力を醸成していれば、次第じわりじわりと支持してくれる人も増えよう。「万人受けしなくてもいい、わかる人に分かってもらえればいい」そんな小癪なことを考えていたのだ。
最近、頭の中に、そんな小癪のちゃぶ台をひっくり返さんとする熱血オヤジがいる。
「バカ野郎!!!!愛嬌あって近寄りやすい人間にこしたこっちゃねぇだろうが!!!!」
いや、まったくその通りだと思う。仮にも創作で生きていくことを目指している人間が、ファンを増やすにあたって外観とエントランスを掃除する努力を怠ってよいはずがない。まず「なんだなんだ」と足を止めてもらわないと、店に入ってさえもらえないのだ。
存在しているだけで人を笑顔にできるほどの愛嬌や美貌や元気を持った人たちが心底羨ましい。蓋を開けてみるまでもなく、視覚的・感覚的にわかる魅力はどこに行けば身につくのだ。
「俺は汚ぇけど入れば旨い居酒屋じゃなくて、本気出せば懐石料理も出せるタピオカ屋になりてぇんだ」
そんな謎の叫びとともに、愛嬌獲得の修行に打って出ることをここに宣言する。
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