Scrapboxに見る「読みたくなるデザイン」
SYNTプログラマーの井上です。
最近はずっと、webサイトのデザインについて勉強しています。
webデザインの勉強をしていると、これまで漠然として見ていたサイトの見方が少しずつ変わってきます。
今回は、scrapboxというサイトのデザインを私なりに分析してみました。
scrapboxはSYNT発音コンテストでも教材を配布するツールとして、利用しています。
一般的にはscrapboxはメモツールとして知られていますが、単にメモを残すだけではなく、そのメモをネット上で共有することができるという点が特徴です。
メモツールは「書く」ということに意識したものが多いと感じます。
例を挙げると、windowsに標準実装されているメモ帳などでしょうか。
windowsのメモ帳はさっとメモをするのにはとても便利です。
UIは極めてシンプルで、僕もたまに使っています。
しかし、メモ帳には大きな欠点があります。
それは、せっかくメモ帳でたくさんメモを残しても、後から読み返すことは少なかったりすることです。
txtファイルがデスクトップに並んでても、読もうという気にはあまりなりませんよね?
一方で、scrapboxはついクリックして、読んでしまいます。
scrapboxはメモを残すということだけでなく、メモを読ませることにも力が入ったUIだと思います。
こうなると、もはや単なるメモツールの枠を超えてコンテンツの共有サイトとして十分に通用できるのではないでしょうか?
一つのmediaサイトとして見てみると、scrapboxにはその他のサイトと大きく異なる点があります。
それは、コンテンツがフラットに並んでいる、ということです。
scrapboxには見出しも、タグも、カテゴリも存在しません。
wordpressにしても、無料ブログにしても、今普及しているブログ系のサイトは、アーカイブやらタグやらカテゴリやら機能が豊富に用意されています。
ブログ系に限らず、evernoteなどのメモツールにもカテゴリ分けなどの機能はありますね。
これらの機能のすべてが無駄だとは思いません。
記事どうしをタグでつなげるというのは便利な場面も多いと思います。
scrapboxはあえてこの機能を排しました。
タグやカテゴリ分けは便利である反面、コンテンツそのものとは異なる副次的な要素です。
複数の記事どうしを、タグなどの機能で作者側がつなげるのは、「つながっている記事も読んで」というオファーになり得ます。
せっかくいい記事でも、他の記事をプッシュされると興ざめしちゃうことがよくあります。
scrapboxにはそのような興ざめ要素がありません。
マリオの冒頭画面一つで無限の工夫があったように、scrapboxにも私には見えない工夫がたくさん仕込まれていることだと思います。
デザインの勉強駆け出しの私の解釈では、スクラップボックスのあの「フラットなシンプルさ」は、
コンテンツそのものを読んでもらうことに全力投球した結果なのではないでしょうか?
タイトルでもカテゴリでもタグでもなく、
コンテンツの中身こそが主人公であるという、
スクラップボックスの世界観を表しているのではないでしょうか?
それを言語によって分からせるのではなく、直感的に理解してもらうために、一切の無駄を排したあのフラットなUIが採用されたのだと私は考えています。
scrapboxの開発会社であるNOTAのHPには以下のようなキャッチコピーがあります。
私たちは、「情報の保存や共有、探索をまるで息をするかのように自然に行えるようにすること」を目指しています。
この考え方は、私が最近読んでいる『ついやってしまう体験のつくりかた』で紹介されていた「直感のデザイン」そのものです(※)。
ゲームでもwebサイトでも優れたUIには共通項があるのかもしれませんね。
※「直感のデザイン」に関しては以下の記事を参照にしてください。https://note.mu/synt/n/ne1867b56122c
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