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Crocus

君の指先を想う。白露。 いつだって、君の綴る詩が 掠れてしまうことを恐れている。 喉元から吐き出して、 手元を離れていった言葉は、 空気を伝って、あの日から。 注がれ続ける炭のように、 心の灯火を消さぬように、と 応える。 応え続けている。 それを世界では、幸せ と呼ぶのだろう。 しかしどうだろう。 きみだってにんげんなのだから、 時間というものが必要、なのでしょう。 素晴らしい芸術の傍らには、 いつだって 孤独 が付き纏うのでし

    • no title

      息を、する。 半ば、強制的なその行為は、つまるところ、 誰かの身勝手な事情 なのである。 なんて、最近は疲れた頭で そう、思ってしまう。 世界は音でできている。そう思えている。 例えば、羽虫の囀り。粼。 夜風が髪を擦り抜ける音。 昨夜の彼が、静かに、頷く音。 それは 例えば優しくて、肯定的な音。 反して、近頃、その日常の片隅。 或る通行人はすれ違いざま、 突如 踵を返して刃物を突き立ててくるのでは、とか。 大きな声で押し潰してくるのでは、とか。 怒号や叱責には

      • 春愁

        夜の眠りが浅くなっていた。 窓辺に置いた花瓶に、もう水は入っていない。 ベランダに出て、夜風にあたって、 明日彼に言うための、さよならの練習をした。 卒業、した。 36ヶ月。1065日。 長くて、深くて、眩しくて、一瞬な 3年間が過ぎていった。 終わってみれば早いものだなといつも思う。 思い入れ、というのは 意外にも少ないものではあって。 後悔がないわけではないけれど、 掬いにいくまでのものでもなかったか、なんて。 振り返ってみると、たくさんの忘れ物が

        • #1

          はじめまして。ふぉんといいます。 ここでは新しく始まる生活のことを 細々と綴っていこうと思います。 よろしくお願いします。