イヤホン第3弾 電車をクラブにする15,000円以内のイヤホン最終回
最初に7,500円の中華イヤホンを購入し、感動して最初の記事を書いてから2年以上。
時間が経つのは早い。
日本では絶対に発売できないであろう極端な音質、かつケーブル交換が容易な中華イヤホンにだいぶドはまりしていた。
上記の記事で書いたイヤホンのいくつかは、故障したり手放したりしてしまった。そんな中で、昨年入社した会社は時間外勤務が半端なく、ストレス発散とばかりに15,000円以内のイヤホンをいくつか購入してしまった。
7,500円からスタートしているので、1本だけで金額が倍になってしまっている。イヤホン沼って本当に恐ろしいね。
もともと15,000円を1本に使う上限としているので、その枠の中であざらしが満足できればよいのだ、と言い聞かせている。
そんな上等なイヤホンが必要なのは、DJの曲Digや音質チェックのために、高音質というか「フロアでこんな感じで出したい音の見本」を出してくれるイヤホンがあると本当に捗るからで。
様々なレビュアーのサイトを読みながら、特にクラブ向けに合いそうなイヤホンを見つけたら買う、といったことを繰り返していた。
今は3本ほどに絞られ、他のイヤホンは必要ないほど音質に満足している。
今回はその「あざらし3強」を紹介する。
正直、ほとんどのDJじゃない人は過去に紹介した安価なイヤホンで十分だと思っている。いくつか生産完了したモデルもあるがまだAmazonに存在していると思う。
DJ用であっても、前回の記事で紹介した低価格なイヤホン「KBEAR / Lark」や「KZ / DQ6」などを使っていれば十分な音質で快適にDJできるだろう。
だから、今回紹介するイヤホンをあえて選ぶようなDJがいたとしたら、あざらしとうまい酒が飲める人なんだと思う。
中華イヤホンあざらし3強(2024年1月現在)
1.HZSOUND / Heart Mirror Pro
「クリアで繊細かつキックも硬い」万能イヤホン。
3本の中で最も「細かい音まで聴こえ、特に音が『キレイ』に聴こえる」。
Moondrop/水月雨という中華イヤホンのメーカーがある。そこのイヤホンはあまりの「美音」でイヤホン界に美音ブームを作り、今ではヨドバシカメラにも取り扱いがあるほどメジャーなメーカーになっている。
このイヤホンは、その美音に匹敵するキレイな音を10,000円前後で出す大コストパフォーマンスモデルだ。
リスニング用途にはこれが向いている。世の中にはこんな高音質が存在するんだと感動できるイヤホン。
とにかく繊細であるがより楽しませようとする出音でもあるので、極端に曲の粗をえぐり出したりすることはない。曲の音質判定と音楽としての楽しみを絶妙に両立できている。
3本の中で最も「オタク用途向け」なのもこれ。声優の声が水面に反射する光のように透き通って聴こえるはず。持っている音源とかASMRみたいなものをこれで使えば、本当にあなたの耳元で歌ったり囁いたりされてるみたいに感じると思う。
また、このイヤホンを1番目に紹介しているのは、「付属のケーブル・イヤーピースのままで十分な音が出る」点だろう。
低価格なイヤホンはそのスペックを十全に活かすために同じくらいの価格のケーブルに換装したくなるものだ。しかしこれは何も交換しなくても満足できる音質だと思う。
コストパフォーマンスここに極まれり、といったイヤホンだと思う。
2.7HZ / Salnotes Dioko
「絶妙な上音とファッショナブル」なイヤホン。
最初に目を引くのがその見栄えの良さ。紫色のオーバルな外観と、大型なので耳をしっかり塞いでフィット感と遮音性は抜群。
アクセサリーとして使っても問題ないのにこの高音質というところに魅力がある。
高音寄りの音質であり、高音が割れてる曲などをしっかり見つけてくれる。
特にボーカルをメインで聴きたい人や、ロックの激しい音を臨場感をもって聴きたいときには非常に楽しい。
DJ用途に使おうと思ったら、イヤホン本体が大きいために脱着が非常に容易なのも特筆すべき点だ。
あざらしは、このイヤホンが3本の中で一番使用頻度が低い。どうにもあざらしは高い音が苦手なようなのだ。
人間は年齢を重ねると高音が聴こえにくくなってくるらしいのだが、あざらしは36歳になって未だにモスキート音がくっきり聴こえる。そのせいでビルの入口でダメージを受けている。
あざらしは、曲を掘る際に高音過多の曲を判定したい場合、もしくはどうしてもイヤホンで見た目にこだわりたい日に使うようにしている。
もしリケーブルやイヤーピースの交換をしようと思ったら「低音が際立つ」とうたっているものを選ぶとよいだろう。
年齢の影響や、普段から高音を聴き続けたことによって「高音の聴こえづらい耳になった」という自覚がある人にも勧められる。
3.7HZ / Legato
今あざらしが一番使用頻度が高いイヤホン。
このイヤホンを一言で表すならば、「すべての場所をクラブにする」。
本当にイヤホンなのか信じられないレベルの凄まじい重低音が出る。
上記Salnotes Diokoと同じメーカーの製品なのだが、ここまで音質に違いが出せるのか、と驚く。
低音が出まくる代わりに少々高音が控えめ。でも高音も出てないわけではないし、低音はバカでかい割に硬く締まっているので、他の音域にかぶったりこもって聴こえたりはしない。
ベース系、特にドラムンベースをこのイヤホンで聴くと、曲本来の聴かせたかった重低音をどこでも浴びることができる。
サイケの場合、サイケは曲の初めからキックの一発目まで前奏のような部分が必ず入るのだが、その部分がきれいに聴こえたと思ったら、最初のキック一発目で全部意識が持っていかれる。
何より「低音が抜群に出るのに高音が刺さらない」というのが、あざらしにとって一番快適にクラブサウンドを感じられる音のバランスだ。
あざらしはこのイヤホンで出るような音のバランスを自分のDJプレイで出せるようにしたいと考えている。これが一番の見本なのだ。
上記の有料記事でもチラッとこれらのイヤホンに触れている。興味があったら読んでくれると嬉しい。
あざらしの外出時のリスニング環境
あざらしは、音楽の試聴用に「エンタメスマホ」と呼ぶスマートフォンを持っている。いわゆる2台持ちだ。
このスマートフォンに超小型の「オーディオアダプター」を付け、イヤホンのケーブルを「バランス接続」にしている。
もし普段使いのスマホ以外にウォークマンみたいなプレイヤーを持ち運ぶのなら、そのプレイヤーで音楽も聴きたいしYouTubeも見たい。
たまにはSpotifyのような音楽サービスも使いたいと思う。
しかし、「ネット接続できてアプリが使える音楽プレイヤー」は果てしなく高い。平気で10万円オーバーするものばかり。
そんなのを使うなら、中華イヤホンがいかに安くても本末転倒だ。
なのでスペックは最低限で画面が大きく、SDカードで楽曲を読み込めるスマホにアンプをつけて持ち運ぶのが最も安上がりなプレイヤーになるのだ。
SDカードに曲を入れられるということは、DJ用USBメモリと全く同じフォルダ分けで曲を持ち運び、選曲することができる。
(あざらしはrekordboxを使わず、手作業で曲をフォルダ分けしている。)
Androidスマホなので、昔から使っている楽曲再生アプリ「Poweramp」を使えるのも利点だった。
正直、ここまでする必要はないと思う。安く良い音にこだわったらこうなってしまっただけだ。
オーディオアダプターとバランス接続
オーディオアダプターは、「超小型ポータブルヘッドホンアンプ」とも言い換えられる。USBメモリ1本くらいの大きさで、音質を向上させたり大きさの違うジャックを挿したりできるようにする機械、と思ってほしい。
スマホ内蔵の「音さえ鳴れば良い」程度のオーディオアンプを無視して、外部の高音質なアンプだけに曲を通すことで音質を向上する機械だ。
Lightningのケーブルを使えば、過去のiPhoneでも高音質有線イヤホンを使うことができる。
バランス接続はもっと難しい話なので、諸々省略して簡単に言えば、大きさの特殊なジャックに変えれば音質が向上する、とだけわかってればよい。
つまり、バランス接続をしたいから対応するオーディオアダプターを付け、そのアダプター自体でも音質が向上するから、一度に2段階音質アップができるということだ。
ケーブルの選び方
イヤホン側のジャックをバランス接続用のジャックにするために、ケーブル交換が必須となる。
(上記Heart Mirror Proはプラグの部分だけ差し替えてバランス接続にできる。ただほとんどのイヤホンはそんなサービス良くない。)
バランス接続にこだわらず、通常のイヤホンサイズのプラグのケーブルに交換したとしても、多少音質は変化する。見栄えもよくなるので、DJする際の見た目を気にする方にもおすすめできる。
ケーブルの選び方は見た目もそうだが、使っている線材の材質によって音の傾向がわかることがある。不思議なことに「銀」を線に使っている場合は、高音がよく出るようになるようなのだ。
逆に「銅」または「金」を使っている線は、低音がよく出るみたいだ。
さらに「金」は高音の刺さりを抑制する効果もあるようだ。その分高いが。
このルールがどこまで当てはまるかは線の種類にもよるし、思ったような音が出ないことも多々あるものの、あざらしはいざケーブルを買いたいとなったら参考にしている。
生活必需品となってしまった中華イヤホン
あざらしは、電車に乗っていて騒いだり怒鳴ったりとうるさい人たちに出くわすと、その日一日のやる気がなくなってしまう。
こんな面倒な状況も、今のイヤホンを使っていれば音楽以外なにも聞こえなくなるくらいの遮音性があるので、全て回避できる。
イヤホンがなければ生活ができないほどだ。
高音質を持ち歩き、高音質を身近に感じ続けていれば、DJプレイにもかなりの影響力があるだろう。
あざらしがプレイするサイケは、手元で魅せるようなジャンルではないし、積極的に混ぜに行くジャンルでもない。1曲をどれだけ高音質に聴かせられるかというジャンルなのだ。
良い音を出すためには良い音を知ること。毎日良いイヤホンで音楽を聴いていれば良い音、不快な音、全てが無意識に見えるようになる。
ひとつ上のDJライフは、高音質を持ち歩くことから始まる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?