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外国人材の日本で働きたくない理由

 


この記事はとても参考になりました。
 株式会社マイナビグローバルの「日本在留外国人の日本での就労意欲・特定技能への意識」に関する調査についての記事です。

1.ベトナム人の日本離れ?

 この調査結果で気になるのはベトナム人の日本離れではないでしょうか。
「今後も日本で働きたい」と回答した人は在留外国人の平均で91%ですが、ベトナム人は85.9%と約5%下回っています。2022年の調査時から12.1ptの減少だといいいます。
 ちなみに、インドネシア人は94.4%、ミャンマー人は97.0%、ネパール人材は96.9%、中国人は97.8%が今後も日本で働きたいと回答したといいます。

2.日本で働きたくない理由

「日本で働きたくない理由」を複数回答で答えてもらったところ、「円安だから」(38.5%)が最も多く、次いで「働く環境が悪いから(長時間労働など)」(30.8%)となっています。

 円安は日本の政治経済の問題ですから企業単体では如何いかんともしがたいでしょう。でも、働く環境は企業経営の問題です。
 人材難の時代、日本人も含めて働く環境の改善が大きな経営課題なのでしょうね。

3.国際人材市場での日本のポジション

 海外からみると日本を選択肢の一つでしかありません。世界の人材市場の中での日本をしっかりと意識しておく必要がありますが、その際に、次のレポートがとても参考になります。

『さまざまな国へ向かう東南アジアの海外就労者』~日本の外国人労働者誘致の競争相手は韓国・台湾以外にも~ 三菱UFJ&コンサルティング調査部 研究員 井口 るり子 2024.03.06

 この調査レポートによると、各国の国別就労先は次のとおりです。

ベトナム人の最大の就労先は日本(ベトナム人の海外就労先の37%)ですが、今後、台湾(28%)、韓国(17%)との競争が激化していくことが予想されてるようです。

インドネシア人の主要な就労先は台湾(30%)、マレーシア(26%)、香港(24%)で、日本はほんの4%です。

フィリピン人の国別就労先はサウジアラビア(23%)、UAE(14%)、クウェート(8%)、カタール(6%)と50%程度が中東の国々で、日本はほんの3%となっております。

ネパールもサウジアラビア(30%)、カタール(29%)UAE(19%)、クウェート(6%)で約8割超が中東で、日本はほんの1%にすぎません。

ミャンマー人の就労先はタイ(57%)、マレーシア(20%)、シンガポール(10%)で日本は8%となっております。

 このように、インドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマーなどでは就労先としての日本は存在感が薄いといえるでしょう。
 今のところベトナム人の最大就労先は日本となっていますが、そのベトナム人が日本離れを起こしつつあるのが気になるところです。
 今後、東アジアでは、韓国、台湾、香港等との競争がますます激しくなるでしょう。
 円安、上がらない賃金、良いとは言えない労働環境、同化主義、排外主義、差別主義など、海外の人材獲得には、あまり良い条件が見当たりません。
 日本で働く外国人材は、円安にも関わらず「日本に来てくれている」「日本にいてくれている」のです。もっと感謝しなければなりませんね。


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