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コロナ下の入院生活

 新型コロナウイルスが流行り出してから、病院を受診するのに足が遠のいている方も少なからずいらっしゃると思います。私が外来診療をしていても、困りごとが「しびれ」や「ふるえ」だと、初診であれ再診であれ、受診されることが減っているなと感じます。それらの症状は、多くは慢性的に、月単位あるいは年単位で抱えられているので、少しくらい先延ばしにしても変わらないのでしょう。それにしても、新型コロナウイルスの流行も年単位になってきていますが。

 入院診療も、急ぎでないとされる検査や治療に関しては、抑えられてはいます。でも、外来よりも入院の方が概ね緊急性が高いこともあり、どうしても入院されている患者さんは尽きません。マスクをして頂いたり、大部屋でもベッド周囲のカーテンを閉め切ったり、様々な対策がとられています。中でも私が一番気になっているのは、面会が困難になっていることです。
 多くの病院で「面会は全面禁止」になっていると思います。それでも、お看取りの患者さんを主として、実はごく一部では工夫された形で面会が行われていたりもします。また、「リモート面会」と言って、スマホ等でビデオ通話をすることは、場所や時間の制限付きで出来ることが多いです。普段ビデオ通話をしていない高齢者の方などでは、病院スタッフがお手伝いをすることもあります。人手の問題で、なかなかご希望どおりの時間や頻度で出来ないことは申し訳なく思いますが。

 それでも、やはり直接会うことが出来ないデメリットはとても大きなものです。手を握ること、家族だけでなく親戚や知人にも囲まれること。マッサージや歩行リハビリのお手伝いをしてもらったり、食事を食べさせてもらったりということも、ご面会の家族の力が大きかったことを痛感します。もちろん、「完全看護」の病院が多いですから、それらは看護師さんやリハビリスタッフなどの職員が、新型コロナウイルス流行下でも継続しています。また、コロナ前の面会可能な時でも、それぞれの生活があり、なかなか来院できないご家族が多いご時世です。医者として、ご家族のサポートを前提にしてはいけません。

 でも正直に言って、特に慢性的な脳障害をもつ患者さんの場合、手厚いご家族ほど治療成績を上げるものはないと思います。多くの皆様がたぶんそうだろうなと思うでしょうが、医療者として公言が難しいがために、まだまだ真価が隠されていると思います。
病院を選ぶとき、治療を探すときに、ぜひこのことも思い出してください。

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