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アルツハイマー病の治療薬

 最近、アメリカで承認された新しいアルツハイマー病の薬が話題になっています。これまでにない、アルツハイマー病を「元から治す」薬です。しかし、素晴らしい話ばかりではなく、その有効性や実社会で使っていくにあたっての方法について、議論があるところです。

 私には難しい政治的な背景もあるようですが、「そもそも脳が未開の地だから薬の評価がすぐに定まらなくてもしょうがないよね」とも思います。脳科学には「まだ分からない点がある」のではなくて、「根本的に仮説の上に成り立っている」といった方が近いと思います。アルツハイマー病にしても、「アミロイド仮説」という病気の原因や成り立ちについての考え方が、まだ仮説なのです。その仮説を有力にする証拠はいくつも集められてきましたが、完全な証明はされていません。
もちろん、苦労して研究開発してきた人々や、信じて治療をしてきた患者さんご家族を否定するつもりはありません。個人的には、自分や家族に適応(その薬を使ってよい状態)があったら、ぜひ使いたいとも思っています。

 ただ、脳のことはそこまで白黒はっきりしていないわけだし、認知症について寛容な世の中であって欲しいと思います。認知症になっても良いし、認知症でも楽しく生きていける。そんな社会を目指す動きも、診断治療の進化と併存して、残って欲しいと思います。


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